混乱

「ベアトリクス、大事な話がある」

私が自分の服とフェイス・ヴィエンヌの荷物をまとめ終えた時、お父様がドアから現れた。その深刻な表情に私は突然不安になった。お父様の端正な顔にそんな表情を見るのは初めてだった。

「どうぞ入ってください、パパ。荷造りが終わったところです」

最後の必需品をスーツケースに詰め込んで閉じた。背後でドアが開き、閉まる音がした。お父様の方を振り向くと、フェイス・ヴィエンヌが寝ているベビーベッドの横に立ち、手をしっかりと握っていた。

最初は何も言わなかった。ベビーベッドの中で楽しそうにもがいている孫娘に視線を釘付けにしていた。考え込んでいるようだった。おそらく、知らせを伝える前に適切な言葉を探していたのだろう。

「パパ?大丈夫ですか?」

お父様は私を見た。疲れているように見えた。「大丈夫だよ、ベアトリクス」と笑顔を見せながら言った。嘘をついているのは分かった。言葉は必要ない。表情が真実を物語っていた。