黒い車は暑い朝の空の下、高速道路の真ん中を静かに走っていた。まもなく目的地である空港に到着するはずだった。クロフォード邸から車で1時間ほどの距離だ。私は助手席に深く沈み、未知の運命から自分を慰めるために得られる限りの暖かさにしがみついた。この地を去るという考えだけで神経が乱れ、不安と恐怖が内側から私を蝕んでいた。今でもコルドバを離れるなんて信じられない。神様のみぞ知る、成功して戻ってくるまでにどれだけかかるのか。おそらく1年か2年はかかるだろう。
フェイス・ヴィエンヌを胸に抱きしめながら、窓の外を通り過ぎる緑の景色に意識を向けた。最後の最後で怖気づいて家に戻ってしまわないように気を紛らわせるためだ。父や祖母、そして8人の兄弟を失望させたくはない。空港まで送ってもらうと気持ちが悪くなるので、断ることができて良かった。その結果、カーターが運転手として私を目的地まで連れて行くことになった。今彼を見ていると、それは間違った決断だったように思える。