群衆を驚かせる

私は喉の中の塊を飲み込んだ。唇に笑顔を浮かべながら、顎を上げて群衆に向き合った。

予想通り、ルーカスと私が通路を通って誕生日の主役に挨拶に行くと、部屋中から冷たい視線を受けた。気にしないふりをして、私は笑顔を更に広げた。

今や誰もが私を悪魔の子のように憎しみの目で見ることができるだろうが、私は彼らの考えを気にしないことを示し続けるつもりだ。過去に間違いを犯したことは認めるし、それらを正そうとしている。

もはや彼らの意見など私には重要ではない。

夫に注意を向けると、彼がまっすぐ前を見ているのが分かった。その視線を追うと、すぐに彼の姉の姿が目に入った。メアリー・テレーズは黒いベールと同じ色のゆったりとしたチュニックドレスを着ている唯一の人物だったため、群衆の中でも簡単に見つけることができた。

他の全員が白い服装をしているのに。

ルーカスは姉の前で立ち止まった。彼女が身につけている装飾品は、胸元の金の十字架ペンダントのネックレスだけだと気づいた。

「お誕生日おめでとう、修道院長様」とルーカスは挨拶した。

メアリー・テレーズは彼の顔を見て目を丸くした。「来てくれないかと思っていたわ!」と彼女は優しい笑顔で冗談を言った。

「たった一人の姉さんの誕生日を見逃すわけがないよ」とルーカスは答え、彼女の頬にキスをした。

「こちらが私の妻のアレクサンドリアです」とルーカスは姉に私を紹介した。

彼女は私に向き直って微笑んだ。「私はメアリー・テレーズ、ルーカスの姉よ。あなたたちが結婚した時は修道院にいて式に出られなかったの。それ以来、お二人を訪ねることができなかったけど、今日やっと初めてお会いできたわ!会えて嬉しいわ!」彼女は私を温かい姉妹のような抱擁で迎えてくれ、私の心は優しさで膨らんだ。彼女は優しいだけでなく、とても綺麗だった。

「私も会えて嬉しいです」と私は恥ずかしそうに言った。

「他のお客様もお迎えしないといけないので、少しの間失礼させていただきます」と彼女は申し訳なさそうな笑顔で言った。

「どうぞ」とルーカスは答えた。

「修道院長様、お誕生日おめでとうございます」と、身なりの良い中年の女性が挨拶した。

メアリー・テレーズはその女性に会いに歩み寄り、ルーカスと私は自分たちだけになった。