男遊びをしている

先頭の男は卑猥な目つきで円香を上から下まで見回し、チンピラのように口笛を吹いた。「お嬢ちゃん、兄さんたちと一緒に行こうぜ」

彼はそう言いながら、指の関節をバキバキと鳴らした。「こんな可愛いお嬢ちゃんに、手荒な真似をしたくないんだ。傷でもつけちゃったら心が痛むからな！」

他の男たちも次々と下品な笑い声を上げた。

円香は足を止め、目の前の男たちを素早く観察した。筋肉質で腕には刺青だらけで、一目で不良だとわかる連中だった。

どうやら、この場から逃げることはできなさそうだ。

ただ、帰国したばかりなのに、こんなに人手をかけて彼女を狙っているのは一体誰なんだろうか。

円香は微かに微笑んだ。「じゃあ、行こうか」

車は闇夜クラブの前で停まった。円香は連れられてクラブに入り、バーフロアを通って個室の前まで来た。

ドアが開き、円香は中に押し込まれた。

…

バーフロアの席で。

黒田時久（くろたときひさ）が何気なく顔を上げると、見覚えのある綺麗な後ろ姿が目に入った。首を伸ばしてよく見てみると、やはり知り合いだった！

彼は急いで抱きしめていた女性を押しのけ、隣でワインを味わっていた秦野慶典（はたのけいすけ）を蹴った。「見ろよ、あれ円香じゃないか？」

慶典の顔立ちは極めて美しく、切れ長の目が妖艶な魅力を放ち、どちらかというと女性的な容貌だった。

彼が見やると、確かにそこには円香の姿があった。彼女と周りにいる男たちを見て、意味深な口調で言った。「本当だな」

「こんな夜更けに、どうして円香はあんな男たちと一緒にいるんだ？」時久は目を細めた。「ここにいる女はみんな金持ちを狙っているんだ。円香は侑樹と結婚したばかりじゃないのか？」

黒田家、秦野家、そして江川家は代々付き合ってきた。黒田時久は黒田家の次男で、秦野慶典は秦野家の若様で、二人とも侑樹とは幼い頃から一緒に育ってきた親友だった。

だから彼らも侑樹と円香が結婚したことを知っていた。