第18章 旦那様と呼んでみて

園田円香は油断していたため、ほとんど江口侑樹の胸元に寄りかかるような形になってしまった。彼は今、彼女を見下ろしており、その吐息が彼女の頬に降りかかっていた。

さらに、彼のその濃厚な色気を帯びた言葉に、彼女の耳たぶは思わず赤くなってしまった。

江川おばあさんの前でこんなことをするなんて、彼は怒りで正気を失ったのだろうか?

園田円香は恥ずかしさと怒りを感じながら、手を伸ばして彼を押しのけようとしたが、江口侑樹は彼女の意図を見抜いたかのように、薄い唇を彼女の耳元に寄せ、ゆっくりと脅すように言った。「おばあさんの前で、夫婦の交流をしたいのかな?」

「交流」という言葉を、彼は特に強調して発音した。

「……」

園田円香が、江口侑樹の言う夫婦の交流が単なる会話だと純粋に考えているとしたら、それは本当に天真爛漫すぎる。

彼は厚かましいかもしれないが、彼女にはまだ恥じらいがある!

園田円香は下唇を噛みながら、手を下ろした。

彼女が折れたのを見て、江口侑樹は長い腕で躊躇なく彼女の細い腰を抱き寄せ、江川おばあさんの方を向いて、だらしなく言った。「おばあさん、少し待っていてください。」

江川おばあさんは若い二人の「甘い」やり取りを見て、頬が自然と上がった。「行っておいで、行っておいで。ゆっくり話し合ってきなさい。急がなくていいわよ、おばあさんはまだお腹が空いてないから!」

園田円香:「……」

江口侑樹は園田円香を抱きながら階段を上り、寝室に入った。

園田円香は即座に男の腕から逃れ、警戒心たっぷりに距離を取り、さらに用心深く江口侑樹の動きを見つめた。

突然空になった腕に、江口侑樹の目が一瞬惑いを見せたが、顔を上げて園田円香が彼から遠ざかろうとする様子を見ると、彼の瞳の奥は素早く冷たさを帯びた。

園田円香は彼のその眼差しに少し怯え、無意識に唾を飲み込んで、先に沈黙を破った。「江口侑樹、あなた...何を言いたいの?」

江口侑樹はまだ言葉を発せず、深い黒瞳で彼女をじっと見つめ続けた。その瞳の奥の感情は不明瞭で、人をますます不安にさせた。

「あなた...話すことがないなら、私、出て行きますよ!」園田円香は自分の声を落ち着かせようと努めた。