第79章 よそよそしい態度

彼女は普段LINEのメッセージをあまり見ないので、通知音も切っていたが、今は佐藤先生からの返信を待っているので、すぐに確認できるようにしなければならなかった。

指を動かしてLINEの設定を開き、通知をオンにし、ついでに佐藤先生とのチャットを固定表示にした。

全てを済ませた後、彼女は名残惜しそうにスマートフォンを置き、山田真澄の冷たい両手を握りながら、優しく語りかけた。「真澄、お姉ちゃんは今日とても幸運だったの。海外で知り合った佐藤先生に会えたの。とても優しい素晴らしい人なの。そしてもっと幸運なことに、彼は名医の助手で、直接名医と連絡が取れるの!」

「佐藤先生は私の願いを伝えてくれると約束してくれたわ。良い話も添えてくれるって。名医が真澄の治療を引き受けてくれるかもしれないの。」

「真澄、お姉ちゃんの全ての幸運を真澄にあげたいの。だから...もし私の言葉が聞こえているなら、必ず頑張って。いい?」

「真澄はお姉ちゃんの弟なの。お姉ちゃんが諦めていないのだから、あなたも諦めちゃダメ。私たちにはお互いしかいないの。一緒に、ずっとずっと生きていかなきゃいけないの!」

病床に横たわる山田真澄は、相変わらず静かに眠っており、冷たい医療機器の音だけが彼女に応えていた。

園田円香はゆっくりと目を閉じ、山田真澄の手をより一層強く握りしめた。

時間が少しずつ過ぎていき、園田円香は数分おきに無意識にスマートフォンを手に取って確認し、焦りながら佐藤先生からの返信を待っていた。

しかし、戻ってきてから今まで、佐藤先生からは何の連絡もなかった。

彼女は焦っていたが、佐藤先生を急かすわけにもいかず、ただ耐えて待つしかなかった。

夜。

園田円香は山田真澄の体を簡単に拭き、壁の時計を見上げると、いつの間にか夜の9時を過ぎていた。

彼女の知る限り、名医は国内に長く滞在することはなく、今日の交流会が終わったら明日には出国するはずだった。

今夜中に返事がなければ、おそらく名医が真澄の治療を断ったということになるだろう。

彼女の眉間に深いしわが寄り、迷いながら、もう一度佐藤先生にお願いして、名医が宿泊しているホテルを教えてもらい、直接お願いに行くべきか考えていた。

突然、スマートフォンが「ピン」という音を立てた。