第117章 告白

「私たちの結婚が公になった以上、あなたは今や正当な江川夫人なのよ。あなたは園田円香個人だけでなく、江川家と江川グループの名声も代表することになるわ」

「だから、外のいい加減な男たちとの関係は、きっぱり断ち切らなければならない!」

「……」

最初の言葉に関して、円香は同意していた。公表は彼らの意図したことではなかったが、江口侑樹が彼女を助けるために公表したのだから、当然感謝しないわけにはいかない。離婚までの間、慎重に行動するつもりだった。

でも後半の言葉は……

今日、江口侑樹が「結婚前も結婚後も自分一筋で、結婚生活は幸せで、浮気も第三者もいない」という宣言をしたにもかかわらず、心の底では彼女を信じていないのだろうか?

以前、円香は彼に傷つけられ、開き直って、信じようが信じまいが気にしないことにしていた。

でも今日は、どんな理由であれ、もう誤解されたくなかった。

江川おばあさんは本当に彼女を大切にしてくれていたし、田中も彼女を可愛がってくれていた。江口侑樹に関しては、少なくとも今日は彼女を助けてくれた。そしてこの別荘は、ようやく少しだけ...家らしく感じられるようになってきた。もう少しだけ、欲張ってもいいだろうか。

「侑樹さん、今日の記者会見で私が説明したことは、全部本当なの。私はあのリストにある男性たちとは何の関係も...」

彼女の言葉が終わる前に、江口侑樹は直接的に遮って言った。「私が言っているのは、佐藤先生のことだ」

円香は一瞬固まり、その後怒るべきか笑うべきか分からなくなった。

前回も彼は彼女と佐藤先生のことを誤解していて、説明しても信じてくれなかった。今でもまだ、信じていないのだ。

しかし前回は、悲しみと怒りで、きつい言葉をたくさん投げつけてしまった。

円香は少し反省し、言葉を慎重に選んでから、落ち着いて話し始めた。「侑樹さん、私と佐藤先生は友達だけよ。もっと特別な関係があるとすれば、彼は私の命の恩人なの。以前、私が海外で重傷を負った時、彼が主治医で、私を治してくれたの。それに今回も、真澄の病気の件で名医を紹介してくれたのも彼のおかげ。私たちの接点はそれだけよ」

彼女は江口侑樹を見上げた。男の整った顔には表情がなく、黒い瞳は何も語らなかった。