第116章 酔って本音を吐く

彼女は考えに考えた末、これしか可能性がないと思った。

あの夜、本当に酔っ払って記憶が途切れてしまったのだが、ただ眠ってしまっただけだと思い込んでいた。

タオルで髪を拭いていた江口侑樹は、まぶたを上げて彼女を一瞥し、「やっと思い出したか」と応じた。

「……」

心の準備はしていたものの、この瞬間、園田円香の心は崩壊しそうで、止めどなく動揺していた。

酔っ払って自分をコントロールできなかった時、余計なことを言ってしまったのではないか?

例えば、彼への想いを告白してしまったとか?

園田円香の頭にそんな考えが過ぎっただけで、顔色が変わった。必死に声の震えを抑え、落ち着いた口調を保ちながら、探るように尋ねた。「江口さん、私、助けを求めた以外に...他に何か言いましたか?」

江口侑樹の手が一瞬止まり、そしてタオルをソファの肘掛けに適当に投げ、興味深そうに口角を上げて、質問に質問で返した。「知りたいのか?」

彼のその表情に、園田円香はさらに緊張した。

唇を噛みながら、小さな声で「教えてください」と言った。

死ぬにしても、どうして死ぬことになったのか知っておかなければ!

江口侑樹の整った顔が突然険しくなり、薄い唇を開いて、冷たい口調で一言一言吐き出した。「お前は言った。俺はクソ野郎だと」

「……」

「それに、俺は犬畜生だとも!」

園田円香は愕然とした。

江口侑樹は彼女に一歩近づき、黒い瞳を細めて、「俺はお前の夫として相応しくないとも言った!」

園田円香は思わず一歩後ずさり、唾を飲み込んだ。

どうやら、酔っ払った彼女は染野早紀の扇動に負けて、本当に江口侑樹に電話して罵ったようだ……

今になって自分から話を蒸し返すなんて、まさに自ら虐めを求めているようなものだ!

園田円香は無理やり干笑いを浮かべながら、説明した。「あの、私、酔っ払って訳の分からないことを言ってしまって...大人の方なので、気にしないでください」

「ふん」江口侑樹は冷たく反論した。「酔った時の言葉こそ本心だ」

園田円香は後悔で胸が痛んだ。あの時どうして自制できなかったのだろう……

彼女は乾いた唇を舐めながら、言い訳をするか謝罪するか迷った末、後者を選んだ。

「本当にごめんなさい」彼女は気まずそうに髪をかきながら、「私、本当に酔っ払ってしまって」

ごめんなさい……