第145章 これからはうまくやっていこう

「……」

園田円香は思いもよらなかった。彼が意識不明の時に、彼女の言った言葉を一言も漏らさず聞いていたなんて。

当時は焦りと心配で、心の中の言葉が全て口をついて出てしまい、結果なんて考えもしなかった。今、江口侑樹にそう聞かれて、円香の心の臆病さがまた顔を出してしまった。

彼女の目が何度も揺れ動き、唾を二度飲み込んで、結局認める勇気が出ず、小さな声で言った。「ないわよ、あなた...夢でも見てたんじゃない?」

ない?

江口侑樹は眉間にしわを寄せた。もしかして、本当に意識不明の時に見た甘い夢だったのか?

でも確かに...園田円香の声が彼をあの夢から呼び覚ましたはずだ。もし彼女が耳元で話していなければ、彼はずっと自分で紡いだ甘い夢に浸り、目覚めたくなかったかもしれない。

江口侑樹は黒い瞳で園田円香をじっと見つめ、再び口を開いた。「園田円香、顔を上げて」

「え?」円香は反射的に顔を上げ、ちょうど男性の黒い瞳と目が合った。

江口侑樹は一字一句はっきりと言った。「私の目を見て、もう一度答えて!本当に夢だったのか?」

「……」円香は下唇を噛み、唇を開いたり閉じたりしながら、最後には全く自信のない声で一言答えた。「そう」

しかし江口侑樹は口角を少し上げた。

彼は手を伸ばし、長い指で彼女の額を軽くつつき、かすれた声で言った。「園田円香、嘘だね」

以前は彼女の言葉が本当か嘘か見抜けなかったが、この瞬間、彼には分かった。彼女が嘘をついていることを。

円香の長くカールした睫毛が激しく震え、目を閉じて開き、江口侑樹を見上げた。

彼女の目には諦めの色が浮かび、開き直ったように首を真っ直ぐに伸ばして言った。「そう、嘘をつきました。私、あの言葉を言いました。夢じゃなくて、本当です」

集中治療室で、彼の冷たい手を握りながら、静かにベッドに横たわる彼を見ていた時、多くの葛藤が晴れ、全てを手放すことができた。

もう自分を欺くことはできなかった。

なぜ江口侑樹の死を恐れたのか、答えは一つしかない。彼女は今でも彼を愛していた。

それまでどれだけ抑え、制御し、心の感情を否定し続けても、あの瞬間、全てが爆発してしまった。

言い終わると、彼女は思わず目を伏せ、静かに彼の判決を待った。

以前のように彼女を嘲笑うのか、それとも警告するのか、あるいは...別の結果があるのか?