二人は思わず同時にドアの方を見た。
江川おばあさんと田中が急いで入ってきて、顔には心配の色が満ちていた。
江口侑樹と園田円香は思わず目を合わせ、お互いの目に驚きを見た。
怪我の件は安藤秘書がすべての情報を封鎖していたので、江川おばあさんは知らないはずだった。
園田円香が先に反応して、「おばあさま、どうして...いらしたの?」
江川おばあさんは彼女に近づき、まずは上下左右から隈なく調べ、手足が無事なことを確認してから江口侑樹の方を見た。彼の顔色が青ざめ、弱々しい様子を見て、目に深い心配の色が浮かび、同時に怒りの色も混ざった。
開口一番の叱責だった。「あなたたち、本当に...こんな大事なことを私に隠すなんて!院長と私が旧知の仲で教えてくれなかったら、私に知らせるつもりもなかったの?」
一昨日の夜中に電話を受けた時は、心臓が止まりそうになった。孫も孫嫁も、どちらかに何かあったら生きていけない!
叱責の言葉でも、園田円香はその声に含まれる後怖さを感じ取り、急いでおばあさんを抱きしめて慰めた。「おばあさま、ごめんなさい。私たちもおばあさまが心配しすぎるといけないと思って...でも、今は大丈夫です。二人とも無事です。」
江口侑樹も手を伸ばし、そっと江川おばあさんの手を握った。「おばあさま、心配しないで。」
江川おばあさんは深いため息をつき、宙ぶらりんだった心がようやく落ち着いた。
田中が傍らで付け加えた。「旦那様、奥様、もう二度とこんなことはなさらないでください。おばあさまは帰ってくる途中ずっと落ち着かず、お経を唱え続けていらっしゃいました。飛行機を降りるとすぐにここに来て、一息つく暇もありませんでした。」
それを聞いて、園田円香は急いで江川おばあさんをソファーに座らせ、水を注ごうとしたが、田中が止めた。「奥様、あなたもお体が弱っているのですから、お休みください。私がやります!」
そう言いながら、手に持っていたユリの花を茶卓に置き、水を注ぎに行った。
彼女は三杯の水を注ぎ、戻ってきて、一杯を江川おばあさまの前に、一杯を園田円香の前に、一杯を持って江口侑樹に渡した。
江川おばあさんは一口水を飲んで、ようやく落ち着きを取り戻した。
園田円香も半分飲み、コップを置く時に、視線が自然とそのユリの花に向かい、少し困惑した。