第166章 実力で顔を潰す

その様子を見て、吉田希が真っ先に野次を飛ばした。「できないなら早く降りなさいよ。みんなの時間の無駄よ!」

彼女がそう叫ぶと、他の彼女の失態を期待していた出場者たちも次々と声を上げた。「そうよ、できるのできないの、はっきりしなさいよ。できないなら降りなさいよ!」

坂本波も園田円香に視線を向けた。「園田円香さん、大丈夫ですか?」

園田円香は坂本波を見返して答えた。「大丈夫です!」

「ふん、まだ強がるつもり?」吉田希が嘲笑うように声を上げた。

園田円香は彼女を空気のように無視し、突然表情を引き締め、真剣な面持ちで、はっきりとした発音でニュースを読み始めた。

彼女のニュース原稿が進むにつれ、会場は自然と静まり返り、皆の嘲笑的な笑みも徐々に消え、驚きと信じられない表情に変わっていった……

「以上が今回の速報ニュースの全内容でした。ご視聴ありがとうございました。」

園田円香の言葉が終わると、会場は数秒間の静寂に包まれ、その後、拍手が沸き起こった。

三人の審査員も拍手を送った。

出場者たちは顔を見合わせ、互いに視線を交わし、誰も予想していなかった。わずか5分の間に、園田円香は完璧にニュースを読み上げ、言葉も滑らかで、一切の詰まりもなく、重要なポイントも的確に伝えられた。まさに素晴らしい出来栄えだった。

吉田希は園田円香の失態を見ることができず、それどころか彼女の出来栄えが良かったことに歯ぎしりするほど腹を立てた。冷ややかに鼻を鳴らし、軽蔑した表情で「まあまあの程度よ」と言った。

園田円香は席に戻る時、ちょうど吉田希のその言葉を耳にした。彼女は口元を少し上げ、突然振り返って彼女を見た。

怒る様子もなく、にこやかに言った。「吉田さん、あなたの並外れた実力を期待していますよ。」

吉田希は少しも恥ずかしがる様子もなく、傲慢に顎を上げた。彼女はニュースキャスター新人賞を受賞した経験があるのだ。こんな無名の新人に負けるはずがない。

坂本波が言った。「2番の出場者、安藤吉実さん、どうぞ。」

安藤吉実は落ち着いた様子で立ち上がり、優雅な足取りで壇上に上がり、座り、カメラに向かって穏やかな笑みを浮かべた。

彼女は口を開き、まず挨拶をした。「審査員の皆様、こんにちは。2番の安藤吉実です。これから速報ニュースをお伝えさせていただきます……」