第177話 最後のPK

園田円香は着信画面を見ると、坂本監督からの電話だった。

彼女は画面をスワイプして電話に出た。「もしもし、坂本監督。」

坂本波の声が向こうから聞こえてきた。「円香、大丈夫か?」

「腰の骨を少し痛めただけで、一週間ほど寝ていなければいけないんですが、ご心配なく、大したことはありません。」と園田円香は答えた。

彼女がそう言うのを聞いて、坂本波もほっとして、心から称賛した。「円香、今回は本当によくやってくれた。」

少し間を置いて、彼は続けた。「それと、もう一つ。二回目のPKが明日に変更になったんだが、今回の君の素晴らしいパフォーマンスで、配信者としての献身的な精神が十分に示されたので、君は直接次のラウンドに進むことができる。この数日は家でゆっくり休んで、最後のPKを待っていてくれ。」

このニュースは、園田円香の予想外だった。

思いがけず、本心からの行動が彼女を直接次のラウンドに進ませることになった。

彼女は嬉しかったが、軽く唇を噛んで言った。「でも、それって他の選手に対して公平じゃないんじゃないですか?」

結局、二回目のPKは七人から三人を選ぶもので、競争は非常に激しいはずだった。

「心配いらない。この提案は三人の審査員から出されて、選手たちも多数決で承認したんだ。人格の魅力そのものも配信者が持つべき特徴だからね。」

園田円香はようやく笑顔を見せた。「では、ありがたく受けさせていただきます。」

電話を切った後、園田円香が顔を上げると、いつの間にかドアの前に立っている江口侑樹が目に入った。

彼女は思わず顎を少し上げ、誇らしげに彼に言った。「侑樹、私、推薦されたの。優勝まであと一歩よ。」

江口侑樹は軽く口角を上げ、長い脚で部屋に入り、ベッドの端に座った。「ああ、聞いていたよ。」

彼は片手で彼女を優しく起こし、もう片手で持っていたコップを彼女の唇元に持っていった。「水を飲んで。」

園田円香は彼の手から半分ほど水を飲んでから言った。「私を送ってきてから、ずっと家にいてくれたの?会社に戻らなかったの?」

彼が今日重要な会議があることを知っていたのに、ニュースを見て直接彼女を探しに来たのだ。

「ああ。」

「侑樹、わざわざ付き添わなくていいって言ったでしょう?私は家にいるし、何も起こらないし、それに田中さんと江川おばあさんもいるのよ。」