「みんなのためになる?」
園田円香は皮肉な目つきで、容赦なく真実を暴露した。「あなたたちのためだけでしょう!」
その言葉を聞いて、坂本波の笑顔が少しずつ消えていき、その目には冷たさと無情さが徐々に現れてきた。
彼は姿勢を正し、自分にお茶を注ぎ、ゆっくりと飲み干してから再び口を開いた。「円香、テレビ局の提案を受け入れたくないなら、あなたの意思通りに、自分で釈明すればいい。」
彼女が釈明する。
この四文字が、さくらテレビの態度を表していた。
つまり、彼女がこの提案を受け入れなければ、さくらテレビは彼女のために一切の釈明をしないということだ。彼女は自分で釈明するしかない。
まさに、アメとムチというわけだ。
園田円香は表情を変えず、相変わらず淡々とした口調で言った。「私に自分で釈明させても、誰も信じてくれないでしょう?」
坂本監督は何も言わなかったが、その表情は明らかに肯定的だった。
園田円香は続けた。「あの日の出来事は、密閉されたスタジオで起きました。中のすべての録画機器は犯人の要求で停止されていて、あの映像も外から撮影されたから、あんなに不鮮明なんです。」
「その場にいたのは、私と犯人と子供だけ。犯人はその場で射殺され、子供の方は、聞くところによると状態がとても悪く、ショックで今でも口が利けないそうです。この二人は、私の証人にはなれません。」
「そして私が入っていくのを見た人たちは、テレビ局のスタッフと警察官たちですが、テレビ局のスタッフは全員口止めされているはずで、警察官たちは当時任務中で、現場があまりにも混乱していたため、彼らも私のことを全員が認識していたわけではなく、有力な証人にはなれません。」
「ああ、それと子供の両親もいましたが、彼らが入ってきた時は子供のことだけを気にしていて、私が誰なのかまで確認する余裕はなかったでしょう?」
園田円香の分析を聞いて、坂本波は感心したように頷いた。「円香、私が言った通り、あなたは頭の良い娘だ。私も、局の幹部たちも、ずっとあなたのことを高く評価していた。私たちもあなたのような人材を埋もれさせたくないんだ。」