それは2つの契約書で、1つは機密保持契約、もう1つはさくらテレビの入社契約でした。
契約書の条項が皆の目の前にはっきりと映し出され、会場は10数秒もの間静まり返った後、様々な声が爆発的に上がりました。
なんと、園田円香こそが暴徒と対峙して子供を救った配信者で、安藤吉実は彼女の功績を横取りし、黙ったまま彼女の栄光を纏って優勝したのでした。
さくらテレビは安藤吉実を売り出すために、入社を条件に園田円香の口を封じようとしたのです。
このような大手テレビ局、代表的なテレビ局がこんなスキャンダルを起こすなんて、まさに目を疑うような出来事でした。
坂本波は大スクリーンに映し出された2つの契約書を見て、顔色が急変し、安藤吉実も優雅さを保てず、足元がよろめきました。
下からの声は次第に大きくなっていきました。
「安藤吉実は争いを好まないように見えたのに、まさか聖人ぶった偽善者だったなんて。さっきみんなの前で平気で嘘をついて、まったく目も瞬きもしなかったなんて、すごい度胸だわ」
「まいった、私も見る目を間違えたわ。安藤吉実のあの清楚な顔は騙されやすいわね。あの子が自分を助けたお姉さんじゃないって言った時、私は彼女の味方だったのに、今になって痛い目に遭わされたわ」
「失恋したよ。てっきり天使のようなお姉さんだと思ってたのに、結局は天使の皮を被った魔女だったなんて」
「この件で一番可哀想なのは園田円香じゃない?江川家を後ろ盾に、江口侑樹のような夫がいれば、いじめられるはずがないと思ってたのに、功績を奪われ、間接的に優勝も奪われ、さらにこの機密保持契約まで強要されて。もしこの事実が明らかにならなかったら、泣き寝入りするしかなかったでしょうね」
「私は逆に園田円香を見直したわ。もし本当に権力を笠に着るような人なら、こんなにいじめられるはずがない。どう見ても、彼女は自分の実力と才能で今日まで来たのよ。アンチから好きになったわ」
「この安藤吉実は今日この優勝を心苦しく思わないのかしら?今もあの優勝トロフィーを抱えているなんて笑えないわ。実力で勝負せず、他人の栄光を奪うだけ。今回は奪えたかもしれないけど、一生奪い続けられるの?いずれ本性が露わになるわよ!」