第234章 罠にはまった！

「どうせ最後は事故、交通事故による死亡として処理されるだけだ」

彼の言葉を、ボディーガードは理解した。

事故に見せかければ、彼を追及することはできない。葉山汐里と園田円香の運が悪かったということになるだけだ。

「承知いたしました」

ボディーガードは電話を切った後、運転席の警備員に向かって言った。「向こうから殺害命令が下りました！」

警備員は頷き、アクセルを思い切り踏み込んで、さらに追跡を強めた。

園田円香が高速道路を降りると、突然後ろに数台の車が現れた。彼女はすぐに理解した。田中お父さん側が動き出し、人手を増やしたのだろう。

彼女は眉をひそめ、より警戒を強め、車の流れを利用してそれらの車との駆け引きを続けた。

しかし、田中お父さんが派遣した車は全部で8台もあり、2台が彼女の左右に来て車線変更を制限し、他の5台は一般車両を遮って前に進めないようにしていた。

次第に、道路上には彼女の車だけが残り、もはや車の流れの中に隠れることはできなくなった。

園田円香は、彼らが車を停止させようとしているのだと思っていたが、実際には彼らは停車を求めているのではなく、左右の車が直接彼女の車に衝突してきた。彼女の車はサンドイッチのように、二台の車に挟まれて進むことを強いられた。

そして次の瞬間、後ろの車もアクセルを踏み込んで、彼女の車の後部に激しく衝突した。

その衝撃で園田円香たち三人は、体が前方に大きく傾いた。

葉山汐里は体を支える力もなく、体全体が座席に激しく打ち付けられ、痛みで冷や汗を流し、苦痛の呻き声を上げた。

園田円香の目が鋭く光った。

田中お父さんは葉山汐里を連れ戻そうとしているのではない。彼は葉山汐里と...そして彼女の命を狙っているのだ！

あの夜、田中お父さんが葉山汐里を不法監禁しているのを見たとき、彼が冷酷な人物だと分かっていたが...まさかここまで無謀だとは！

自分の汚い行為が暴露されないように、人命まで買収しようとするなんて！

園田円香は唇を強く噛みしめ、両手でハンドルを握りしめた。簡単に彼の思い通りにはさせない！

「安藤秘書、葉山さん、手すりをしっかり掴んでください！」

言い終わるや否や、園田円香はハンドルを素早く左に切り、速度を時速120キロまで上げ、左側の車を少し押し開けた。