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園田円香は直接さくらテレビに向かった。
彼女が現れた途端、周りの人々の注目を集めた。今の旬な存在と言えば、彼女以外に誰がいるだろうか?芸能人でさえ、今の彼女ほどの話題性はない。
もちろん、今回の一件で多くのファンも獲得した。局内に入ると、次々と若い女性や男性が近寄ってきて、「すごく素敵です、大好きです」といった言葉をかけてきた。
園田円香は礼儀正しく微笑み返し、エレベーターで3階に上がり、オフィスフロアに入った。
誰も彼女が突然戻ってくるとは思っていなかった。結局のところ、さくらテレビは既に彼女を解雇する声明を出していたのだから。
全員が一瞬驚いた後、すぐに反応し、笑顔を浮かべて彼女に挨拶し、お世辞を言った。
この逆転劇で、園田円香は見事な勝利を収めた。局は必ず彼女を引き留めようとするだろうし、昇進さえあり得る。良好な関係を保つに越したことはない。
世の中の冷暖を知り尽くした園田円香は、形だけの笑顔を浮かべながら、明確な目的を持って安藤吉実のデスクへと向かった。
安藤吉実は彼女を無視することもできず、皆の目の前で偽りの笑顔を浮かべ、虚偽に満ちた声で言った。「円香さん、お帰りなさい。無実が証明されて、おめでとうございます」
園田円香は相変わらず笑顔で、さらに非常に穏やかな口調で言った。「安藤さん、お話があるんですが、ちょっと来ていただけますか?」
彼女に何の話があるというの?また勝利を自慢したいの?
安藤吉実は当然、園田円香の話を聞きたくなかったが、園田円香は今や注目の的であることを知っていた。皆の前で話しかけられては、断ることができない。
さもなければ...皆からずっと見られることになる。
安藤吉実は密かに唇を噛んでから、「ええ、いいですよ」と答えた。
園田円香が先に歩き出し、安藤吉実は一歩遅れて後ろについて行った。
安藤吉実は最初、廊下で話をするだけだと思っていたが、園田円香はまっすぐエレベーターに向かった。眉間にしわを寄せながらも、結局は彼女に続いてエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターは1階に到着し、二人は出た。
園田円香はさくらテレビの裏口に向かって歩き、安藤吉実は少しイライラし始めていたが、1階ロビーにはより多くの人がいたため、ここで園田円香に怒りをぶつけることはできなかった。