第367章 離婚したくないなら、しなくていい！

このことは江川おばあさんの前では言えないので、園田円香は顔を上げて彼女を見て、とても自然に言った。「おばあさん、ちょっと電話に出てきます」

江川おばあさんは頷いた。「ええ、行っておいで」

園田円香は立ち上がり、病室を出て、そっとドアを閉めた。

彼女は廊下の端まで歩いていった。そこには誰もいなかった。そして電話に出た。「早紀、結果は出たの？」

この質問をした後、彼女は思わず緊張してしまった。

彼女はどんな結果になるのか分からなかったが、願わくば...この江口侑樹が本物の江口侑樹ではないことを。そうすれば、彼の正体を暴露すれば、もう江口侑樹の身分を騙って人を欺くことはできないはずだ！

「うん、急いでもらったの。鑑定報告書を今受け取ったところ」と染野早紀が答えた。

「それで...どうだった？」園田円香は思わず息を止めていた。

数秒待って、染野早紀の低い声が聞こえてきた。「親子関係は...99.9パーセント」

染野早紀の声にも不甲斐なさが滲んでいた。「急ぎの検査だから、結果に多少の誤差があるかもしれないけど、基本的には確実だと言えるわ」

「…………」

一瞬、園田円香は本当に言葉を失い、何も言えなくなった。

つまり、この江口侑樹は、本物の江口侑樹で、誰かが偽装したものではないということだ。

この結果は、園田円香を本当に落胆させた。とても、とても落胆させた。

園田円香の沈黙を見て、染野早紀も思わず深いため息をついた。

「本当に分からないわ。人は確かに変わるけど、こんなにも徹底的に性格が変わることってあるの？」

園田円香は背筋が寒くなるのを感じ、声も硬くなっていた。「たぶん、彼は前から演技をしていたのよ」

たぶん、彼は彼女の前で、最初から最後まで本当の自分を見せていなかったのだ。

本物の江口侑樹だとすると、問題は厄介になる。

なぜなら、今のところ彼に対抗する突破口が見つからないのに、江口侑樹は彼女の弱みを握っている。どう見ても、負けは確実な状況だ。

電話越しに、染野早紀は園田円香の無力感を感じ取ることができた。彼女はただ慰めるしかなかった。「円香、慌てないで。もう少し考えましょう。きっと何か方法があるはずよ！」

園田円香は無理に笑顔を作った。「うん、もう少し考えましょう」

電話を切った後、彼女は窓の前に立ち、外の空を見つめた。