第361章 解離性障害

一時間後、園田円香は高級医療クリニックの前に到着した。

彼女が以前海外で配信者をしていた時、とても有名な心理医を取材したことがあり、その医師とはずっと良好な関係を保っていた。その医師は今このクリニックに勤務している。

園田円香は中に入り、受付で予約済みだと告げると、看護師が診察室の前まで案内してくれた。「出雲先生がお待ちです」と丁寧に言った。

「ありがとうございます」園田円香は頷いた。

彼女はドアを軽くノックしてから、中に入った。

出雲先生は50歳くらいだが、自己管理が行き届いており、日頃から運動も欠かさないため、30歳くらいにしか見えない。

穏やかで優雅な雰囲気で、特に優しい笑顔を浮かべていた。

「園田さん、お久しぶりです」出雲先生は立ち上がって迎えた。

園田円香も微笑んで「出雲先生、お久しぶりです」と返した。

二人は席に着いた。

出雲先生は彼女の様子を観察し、顔色が悪くないのを見て笑いながら言った。「以前、あなたが亡くなったという知らせを聞いた時は信じられませんでした。その後生存していると聞いて、とにかく、あなたが生きていて本当に良かったです」

「私も、生きてまたお会いできて嬉しいです」園田円香は自分を茶化すように言った。

出雲先生は首を振って笑った。

挨拶が済むと、出雲先生は本題に入った。「それで、今日は何かご用でしょうか?診察ですか、それとも取材ですか?」

出雲先生の時間が貴重なことを知っている園田円香も無駄話はせずに「相談です」と答えた。

「ほう?」出雲先生は眉間を少しひそめ、心配そうに「どうかしましたか?具合が悪いところでも?」

園田円香は「私ではなく、私の...友人のことです。その人に異常が現れていて、私にはよく分からないので、先生にお聞きしたいと思って」と答えた。

「はい、どうぞ」

園田円香は言葉を整理してから口を開いた。「その友人なのですが、ここ数年で突然性格が大きく変わってしまって、とても残虐で極端になってしまいました。まるで...別人のようなんです。このような状態は、どういった原因が考えられるでしょうか?」

出雲先生は微妙な表情を浮かべた。「それだけ...ですか?」

「...説明が足りませんでしたか?」

出雲先生は笑みを浮かべて「はい、今のご説明だけでは判断が難しいですね。情報が足りません」