第366章 彼女は悲しかった

彼女は安藤秘書に送ったメッセージで、今夜江川社長がパーティーに参加するかどうかを尋ねていた。

数秒後、安藤秘書が返信した:「はい、園田さん。江川社長は今夜パーティーに出席されます。」

園田円香は携帯を置き、黒い瞳をきょろきょろと動かした。

この数日間の観察によると、江口侑樹は超ワーカホリックで、会社に滞在する時間が非常に長く、夜に接待や会食があっても、終わってから会社に戻って仕事をするのだった。

仕事が遅くなると、そのまま会社で寝てしまうこともあった。

だから彼女は、もし本当に薬を服用しているのなら、それらの薬がオフィスにある可能性が非常に高いと考えていた。

彼女もこれだけ長く我慢してきたのだ。やっと江口侑樹が外出する機会を掴んだ。このチャンスは二度と来ないかもしれない!

それに、この件を早く解明して、ここから離れたいという気持ちも本当だった。もう江口侑樹と安藤吉実に目を汚されたくなかった!

今は午後5時。通常なら、江口侑樹がいれば、外の社員たちも少し遅めに退社するが、江口侑樹がいない場合、ほとんどが定時で帰る。つまり遅くとも7時には全員が帰ってしまうだろう。

全員が帰るのを待って、行動を起こさなければならない。

園田円香は退屈そうに携帯をいじり、しばらくTikTokを見たり、トランプゲームをしたり、江川おばあさんとLINEで話したりして、2時間がゆっくりと過ぎていった。

彼女は立ち上がり、オフィスを出た。

案の定、外のフロアの社員たちは全員帰っており、大きな照明も消えていた。

園田円香はすぐには行動を起こさず、頭を上げて、壁のあちこちに設置された監視カメラを確認した。

以前、染野早紀と振り返った時、前回江口侑樹に発見されて、智則を連れ去られたのは、監視カメラが原因だった。

当時は監視カメラを破壊しただけだったが、それでも江口侑樹に修復されてしまった。

だから今回は、監視カメラに映るわけにはいかない。一切の漏れがあってはならない。

園田円香は江川グループの警備員の交代時間を把握していた。この時間帯は退社時間なので、監視室の警備員は2人だけが残っているはずだった。

彼女はエレベーターで下り、監視室に向かった。