第369章 早くから仕込んでいた駒

数秒後、彼は唇を動かし、残りの言葉を吐き出した。「彼女自身です」

同時に、園田円香も口を開いた。「彼女自身です」

張本さんは一瞬驚き、すぐに彼女を不思議そうに見た。「園田キャスター、どうしてご存知なんですか？」

園田円香は少し目を伏せて、「お話を聞いていて、推測できました」

ただし、この答えは彼女の予想外でもあった。

彼女は突然、林田茜に人質にされた時、耳元で言われた言葉を思い出した。「園田円香、私を放っておいてくれなかったからよ。私の侑樹さんを奪って、若林麗のような下賤な女のために私の父を奪い、母を狂わせ、私を刑務所に入れて、それでもまだ追い詰めようとするの！」

当時は彼女の言う「追い詰める」がどういう意味なのか分からなかった。彼女は何も追い打ちをかけるようなことはしていなかったのに。今になってようやく少し理解できた気がする。

おそらく多くのことは、林田茜が自分で想像したものだったのだろう。

明らかに自分で自分を傷つけているのに、他人が自分を殴り、罵り、虐げていると言い張っていた。

彼女の精神状態は確実に問題があったからこそ、このようになったのだろう。しかし、それは自分でストレスを抱えすぎて精神を病んだのか、それとも...外的要因によるものなのか？

これは彼女が発狂したことと、きっと関係があるはずだ！

張本さんは賞賛するように言った。「園田キャスター、本当に賢明ですね」

園田円香は軽く微笑み返し、さらに尋ねた。「彼女が自分で自分を傷つけていることが分かった後、医者に診せましたか？」

「心理カウンセラーにカウンセリングを受けさせ、薬も処方しましたが、彼女の状態は波があって、良い時は普通なのですが、悪い時はやはり自傷行為をしてしまい、その時は私たちもできる限り見守るしかありませんでした」

園田円香は頷き、少し考えてから言った。「服役中に、誰か面会に来た人はいましたか？」

「はい、一人います」張本さんは話しながらキーボードを叩き、資料を呼び出して確認してから言った。「安藤吉実という女性です。ただし、一度しか来ていません」

安藤吉実！

やはり彼女が関係していた！

園田円香は追及を続けた。「面会に来たのはいつですか？林田茜が脱獄する少し前...ではありませんか？」