第397章 彼らは共存できない

彼女は自分の車に向かって歩き、ドアを開け、座り、エンジンをかけた。

遊園地は郊外にあり、狭い曲がりくねった道があった。夜も更けており、街灯はあったものの視界は多少妨げられていたため、江口侑樹はブレーキを軽く踏んで、速度を落とそうとした。

しかし、ブレーキを踏んでも速度は落ちなかった。

さらに強く踏み込んでも、まったく反応がなかった。

ブレーキが壊れた!

電子パーキングブレーキも強く引いてみたが、やはり反応がなかった!

しかも、アクセルを踏んでいないのに、車の速度は上がり続けていた……ブレーキだけでなく、他の部品も問題があるようだ!

江口侑樹の目が一瞬で険しくなった。今日は一人で約束に来ており、ボディーガードを連れていなかった。今彼らに連絡しても間に合わないだろう。

もし車を止められなければ、速度が最高に達したとき、彼の運転技術がどんなに優れていても、車も人も無事では済まない可能性がある!

江口侑樹は即座に判断を下し、ハンドルで車を制御しながら、Bluetoothイヤホンを装着し、最寄りの消防署に電話をかけた。

相手が電話に出ると、彼は落ち着いて簡潔に状況を説明した。

消防署は「すぐに救援に向かいます。江川さん、くれぐれもお気をつけください。私たちが到着するまで持ちこたえてください!」と返答した。

電話を切ると、江口侑樹は全神経を道路に集中させた。

この時、車の速度はすでに時速160キロに達しており、カーブに入っていた。道は狭く、対向車も次々と来る中、彼は最善を尽くして制御していたが、何度も衝突しそうになった。

しばらくすると、速度はさらに上がり、彼はほぼ直感と反射神経だけで避け続けていた。急カーブで対向車が突然現れた時、彼は素早く左にハンドルを切り、かろうじて避けることができた。

しかし次の瞬間、車の前部が反対側の木に向かって傾き、一度衝突すれば車は間違いなく斜面を転がり落ちるところだった。

江口侑樹は素早く右にハンドルを切り、方向を立て直した。

一分一秒が生死を分ける瞬間だった!

普段は冷静な彼も、眉間に深いしわを寄せ、表情は重々しかった。

絶対に怪我するわけにはいかない!

突然、携帯電話が鳴り、江口侑樹は消防の救援が来たと思い、急いで片手を空けて電話に出た。