第18章:クズ女を踏みつける1

折田坊ちゃまの噂は、Z市で絶えることがなかった。

しかし、折田坊ちゃまは、バックグラウンドがあり、能力があり、容姿端麗で、我が儘で傲慢な性格だった。

一挙手一投足で、大企業や大会社を一瞬にして崩壊させ、灰燼に帰すことができた。

Z市のビジネス界では、誰に敵を作っても折田坊ちゃまには逆らうなという暗黙の了解があった。

折田坊ちゃまの逆鱗に触れれば、一族皆殺しの目に遭うことは必至だった!

しかし、折田坊ちゃまの目に留まった人や事柄は、たとえ些細なことでも、彼の関心を引き、天にも昇るような栄華を与えられた。

ただし、そのような幸運児は極めて稀だった。

今や鈴木花和は、その極めて稀な幸運児の一人となった。

折田坊ちゃまは、Z市の名門企業の運命を、たった一度寝た相手に委ねたのだ。

これを聞いた者は笑い話としか思えなかった。

しかし、これは紛れもない事実だった。

その場にいた男女を問わず、皆が鈴木花和に羨望と嫉妬の眼差しを向け、彼女に代わってその幸運児になりたいと願った。

これは何と栄誉ある出来事だろう!

一人の人間が何千何万もの人々の運命を決定できるなんて、後で話すときにどれほど面目が立つことか。

しかし今、心は締め付けられ、羨望と嫉妬と不甘心、そして異常な緊張と恐れを抱きながら鈴木花和を見つめていた。

しかし鈴木花和は、それを栄誉や面目が立つことだとは思っていなかった。

彼女は折田辻司に何か意図があるように感じた。本当に彼女を助けたいのか、それとも何かの試練なのか。

しかし、どちらの意図であれ、折田辻司が彼女のために立ち上がり、刃となってくれるなら、彼女は喜んでその鋭い刃を使って、前世の恨みを晴らすつもりだった。

愛する人に裏切られ、陥れられ、世間から指弾され、名誉を失ってZ市を去ることになった。

人生をやり直して、もう二度とこんな愚かな生き方はしたくない、堂々と生きていきたい。

聖人君子になんてなりたくない、自分を傷つけた者たちを許したり、復讐を諦めたりはしない。

前世では、愛情に目が眩んでいた自分にも大きな責任があったが、元凶となったあの男女は、決して責任から逃れることはできない。

復讐してやる、彼らにも生きた心地がしない思いを味わわせてやる!