第17章：折田坊ちゃまの誘惑

田中志雄は続けて二人の女性に殴られ、心の中には怒りが溜まっていた。

彼は手を振り上げて平手打ちを返し、草刈綾美に向かって怒鳴った。「この売女め、お前が誘ってきたんじゃないのか？総経理のポジション、社長のポジションで俺を誘惑したのはお前だろう？」

草刈綾美は田中志雄のこのような露骨な侮辱に、顔色が白くなったり赤くなったり、青ざめたりと、めまぐるしく変化した。

彼女は歯ぎしりしながら怒鳴り返した。「田中志雄、この恥知らずめ！もし本当に鈴木花和への愛が真実で、そんなに一途なら、私のちょっとした誘惑で心が揺らぐはずがない。結局のところ、お前自身が偽善的で、貪欲で、利己的なだけだ。誰のせいでもない！」

皆が目を丸くして田中志雄と草刈綾美の、えっと、仲違いを見つめていた。

「ふふ、いい芝居だねぇ！」折田辻司は盛り上がり不足と感じたのか、すぐに笑みを浮かべながら近づいていき、そして鈴木花和の肩を抱き寄せた。花和はしばらく抵抗したものの、振り払えず、折田辻司の好きにさせるしかなかった。

折田辻司は少し頭を下げ、口を花和の耳元に寄せ、温かい息が直接当たり、花和の頬が少し赤くなった。

折田辻司は頬を赤らめた花和を見て、瞳の光を深め、口角を少し上げ、花和の耳元に口を寄せながら、目は田中志雄と草刈綾美の方を見て尋ねた。「辛い子、満足したかい？」

鈴木花和は唇の端を少し上げ、冷たい笑みを浮かべて言った。「満足よ、どうして満足しないことがあるの？」

彼女の当初の計画は田中志雄と草刈綾美というこの男女の正体を暴くことだったが、適当に引っ張り込んだワンナイトスタンドの相手が、まさかZ市で最も権力のある男性だとは思わなかった。

その復讐の結果は、彼女の予想を完全に超えていた。

もし彼女一人で彼ら二人と対峙していたら、その場で正体を暴いたとしても、ただの笑い物になるだけで、このような効果は得られなかっただろう。

輝利グループが破産するかどうか、田中志雄と草刈綾美がどのように仲違いして互いを非難し合うかなど、彼女にはどうでもよかった。

彼女はただ前世の自分の潔白を取り戻し、すべての人に真実を知らせ、田中志雄と草刈綾美に嫌な思いをさせたかっただけだ。

でも今は……