第78章：最初のお客様（新年おめでとう！）

鈴木のお母さんはこの人が大家のお婆さんだと推測し、笑顔で近づいていった。「大家のお婆さんですね。こんにちは、私は鈴木花和の母です。うちの珠希をお世話になり、ありがとうございます」

お婆さんは笑みを浮かべながら言った。「鈴木のお母さん、私は松本と申します。松本おばさんと呼んでください。あなたの娘さんのことが大好きですよ」

鈴木のお母さんは笑って答えた。「はい、松本おばさん」

松本お婆さんは言った。「昨日、娘さんが今日野菜を売りに来ると言っていたので、待っていたんですよ」

鈴木のお母さんは野菜かごを受け取りながら笑顔で言った。「松本おばさん、わざわざ来ていただかなくても、私たちがお宅まで届けられますよ」

松本お婆さんは手を振って言った。「いいえ、結構です。この年寄りの体には、少し動き回って運動するのがいいんです」

鈴木花和はトマトを一つ取り出して松本お婆さんに渡しながら言った。「はい、お婆さん、味を見てみてください」

松本お婆さんは娘の手にあるトマトを見て、市場で売っているものよりも赤くて透き通るような美しさに目を奪われた。

松本お婆さんはトマトを受け取り、にこにこしながら言った。「このトマト、本当に綺麗ですね」そう言って一口かじると、その年老いた目に驚きの光が宿り、数回噛んでから感嘆の声を上げた。「まあ、このトマトはとても美味しいわ」

そのとき、鈴木のお母さんは野菜をかごいっぱいに詰めて出てきて、言った。「松本おばさん、これだけ用意したんですが、足りますかしら？」

かごの中の緑や紫、白の新鮮な野菜を見て、松本お婆さんは再び驚いて言った。「この野菜たち、本当に新鮮でみずみずしいわね」しかし、かごいっぱいの野菜を見て、「いくらですか？」と尋ねた。

鈴木のお母さんは言った。「松本おばさん、うちの珠希をこんなにお世話になっているのに、お金なんていただけません。これらの野菜はそのままお持ち帰りください」

松本お婆さんも遠慮せずに言った。「野菜が多すぎて食べきれないわ。少し減らしましょう」

そう言って野菜を取り出そうとしたが、鈴木花和に止められた。

彼女は言った。「お婆さん、食べきれない分は冷蔵庫に入れておいてください。今日売り切れたら、次に売りに来るのは二日後くらいになるかもしれません」今日は主に市場調査のためだった。