鈴木花和は弟にトマトときゅうりを届けた後、自分の住まいに戻った。
ベッドに寄りかかって休んでいると、心の中に恐れと不安が湧き上がってきた。
あのビデオのおかげで潔白が証明されたことに感謝すべきだった。
彼女が全力で走った区間の監視カメラが壊れていたことに感謝した。そうでなければ、あんなに速く走れることをどう説明すればよかったのかわからない。
また、この時期は自撮り意識が強くなかったことにも感謝すべきだった。そうでなければ、あの走る速さは必ずネット上で物議を醸したはずで、そうなれば自分と家族に大きな問題を引き起こすことになっただろう。
鈴木花和は今、人身売買グループの逮捕時に、人身売買犯から子供を奪い取って即座に逃げ出したときのことを思い出した。今になって気づいたが、あの時の速さは速すぎたかもしれない。
あの時、警察官たちが少し驚いた目で見ていたことを、彼女は今でも不思議に感じている。
河野並木が何か言いたげな表情を見せていたことも、今になってようやく理解できた。
しかし、なぜ突然走る速さが速くなったのだろうか?
鈴木花和は少し考えて、仙泉の水を飲んだせいではないかと思った。
そう、きっとそうに違いない。
仙泉の水を飲み、その水で体を洗い、体内の不純物が全て排出されたため、自然と体が軽くなり、走ろうとすると、どんどん速くなっていったのに違和感を感じなかったのだ。
これからは、このような状況に気をつけなければならない。
今回は問題なかったが、これからも問題がないとは限らない。
鈴木花和は、自分の身に起こる不思議な出来事がますます増えていき、より多くの人から疑いの目で見られるかもしれないことを知っていた。
しかし、彼女は必ず慎重に行動するつもりだった。
もし空間が露見してしまったら、最悪の場合、空間を引き渡せばいい。
狂った研究者たちに玉飾りを研究させればいい。もし彼女を捕まえて研究しようとするなら、最悪の場合、道連れにすればいい。空間があれば、道連れにするのは簡単なことだ。
このことを理解すると、鈴木花和は深いため息をついた。
横になるとすぐに眠りについた。
翌朝早く、鈴木花和は爽やかな気分で目覚めた。
時計を見ると、五時半だった。
彼女は素早く歯を磨いて顔を洗い、その後、急いで空間から野菜を取り出した。