第172章：過去を振り返る2（2番目）

彼らも最初は本当に鈴木花和が田中志雄を裏切ったと思っていました。特に鈴木花和は妊娠していましたが、それは私生児でした。

しかし後に、彼らはZ市に行き、田中志雄夫婦と一緒に暮らしましたが、生活習慣の違いから、姑と嫁は水と油のような関係でした。特に草刈綾美はこの義理の両親を嫌っていて、彼らが汚くて臭くて、だらしないと思い、まるで乞食と変わらないと感じていました。

藤山栄子という姑は、自分の息子が世界で一番優秀な人間だと思っていました。

そうです、お金持ちのお嬢様を嫁に迎えたことを、彼女は誇りに思い、心の中で得意になっていました。

しかし、彼女の考えでは、女性が男性側に嫁いだ以上、男性側の人間になったのです。

姑である彼女は当然、威厳を示し、姑としての威光を振るい、時々草刈綾美に文句を言い、洗濯や料理をして夫の世話をするように言いました。

草刈綾美は従順なお嬢様ではありませんでした。そもそも義理の両親が好きではなかったので、姑の言うことなど聞くはずがありませんでした。

そうして、彼らは毎日小さな喧嘩をし、三日に一度は大きな喧嘩をしていました。

誰も相手に屈しようとしませんでした。

しかし、この秘密を聞いてから、藤山栄子は草刈綾美を思い通りにできると思い込んでいました。

ところが、草刈綾美は顔色一つ変えず、彼らを直ちに帰らせました。

彼女は夫婦に警告しました。もしこの件を口外すれば、彼らを無一文にし、田中志雄まで路頭に迷わせると。

田中宏と藤山栄子は当然それを気にしませんでした。

彼らは草刈綾美が田中志雄に嫁いだ以上、彼女の全て、草刈家の全てが田中家のものになるのは当然だと思い込んでいました。彼女に彼らを無一文にする資格などないと。

田中志雄は今回も傍観せず、草刈綾美と共に彼らを故郷に追い返しました。

彼は言いました。「お父さん、お母さん、実は僕は婿養子なんです。草刈家が僕たちを無一文にすると言えば、本当にそうなります。あの貧しい山奥に戻りたいんですか？」

田中宏と藤山栄子は田中志雄が草刈家の婿養子だと聞いて、その場で天が崩れ落ちるような衝撃を受け、激怒しました。

彼らは息子をこれほど立派に育て上げたのは、婿養子にするためではなく、田中家の名を上げるためでした。