第231章:竹田を騙す旦那様(その1)

Z市のユニオンスーパーの入り口には、早朝から大勢の人が集まっていた。

ユニオンスーパーは市内最大のスーパーマーケットで、毎日の客足が非常に多い。

普段なら、早朝からスーパーの入り口には、開店を待つお年寄りたちが大勢いた。

彼らは一日の活力を、朝の商品の争奪戦に全て注ぎ込んでいた。

例えば、セール品の限定商品などだ。

しかし、二日前から、ユニオンスーパーの入り口には若者たちが早くから待っていた。

この時、若い男女が頭を寄せ合って話をしていた。

「昨日はそのイチゴを買えなかったけど、今朝は絶対に手に入れるわ。」

そう、争奪戦なのだ。

ただ商品があまりにも人気があるため、食べたければ奪い合うしかなかった。

老若男女が押し合いへし合いしており、もしユニオンスーパーの警備が万全でなければ、昨日は喧嘩や流血、さらには将棋倒しの事態になっていたかもしれない。