第231章:竹田を騙す旦那様(その1)

Z市のユニオンスーパーの入り口には、早朝から大勢の人が集まっていた。

ユニオンスーパーは市内最大のスーパーマーケットで、毎日の客足が非常に多い。

普段なら、早朝からスーパーの入り口には、開店を待つお年寄りたちが大勢いた。

彼らは一日の活力を、朝の商品の争奪戦に全て注ぎ込んでいた。

例えば、セール品の限定商品などだ。

しかし、二日前から、ユニオンスーパーの入り口には若者たちが早くから待っていた。

この時、若い男女が頭を寄せ合って話をしていた。

「昨日はそのイチゴを買えなかったけど、今朝は絶対に手に入れるわ。」

そう、争奪戦なのだ。

ただ商品があまりにも人気があるため、食べたければ奪い合うしかなかった。

老若男女が押し合いへし合いしており、もしユニオンスーパーの警備が万全でなければ、昨日は喧嘩や流血、さらには将棋倒しの事態になっていたかもしれない。

「このイチゴがどうしてこんなに美味しいのかしら?」十八、九歳ほどの少女が首を傾げ、顎に手を当てながら不思議そうに尋ねた。「今まで、こんなに美味しいイチゴを食べたことがないわ。」

「私も食べたことないわ。」隣の少女が言った。「このイチゴは青みがかっているのに、とても果汁が多くて風味豊かで、香りも良いの。でも残念なことに、昨日は二個しか買えなかったわ。」

「でも、一個十五元のイチゴって、ちょっと高すぎじゃない?」誰かが価格に異議を唱えた。

「高いわよね。でも買うしかないのよ。」誰かが的確に指摘した。「もし私が商売人なら、私もこの値段で売るわ。」

「あっ、スーパーの門が開いたわ、早く中に入りましょう!」若い男女が飛ぶように走っていった。

しかし彼らの予想に反して、彼らが弱者だと思っていたお年寄りたちの動きが素早く、一人また一人と彼らの前に出て行った。

「大飛、君は足が速いから、先に走って、私の分も五個イチゴを取ってきて!」

「私の分も五個お願い!」

みんなが数を告げた後、大飛という若者は、その名の通り飛ぶように果物売り場—イチゴを売っている場所へと走っていった。

しかし、そこに着いた時には、すでに大勢の人が奪い合っていた。

客がイチゴを傷つけないように、ユニオンスーパーは販売するイチゴを全て包装していた。

硬い紙箱に入れて。

一粒のイチゴを一箱に。