河野並木は言った。「うん、この婚約式には来ないのが正解だ。できれば、この婚約式なんて全く望んでいないんだ。まあ、そういうことで。」
電話を切った後、河野並木はマンションのベランダに座り、次々とタバコを吸った。煙が目の前に漂っているが、彼の鋭い瞳は前方を動かずに見つめ、顔には諦め、苦痛、そして決意の表情が浮かんでいた。
明日は彼と秦野朱音の婚約式だった。
帝都の名士たちが、皆やって来る。
明日から、彼は権力争いの渦の中に巻き込まれ、かつて軽蔑していた人々と表面的な付き合いをしなければならない。
ふん……
河野並木は自嘲的に笑った。
……
宮崎高空は電話を切った後、電話を握っていた手を強く握りしめ、そしてため息をついた。
お爺さんが言ったように、美人を手に入れるには、親友の河野並木が大きな問題になるだろう。