宮崎家に戻ると、高空は田中くんと山本くんに言った。「この山本春香を村に置いておくのは大きな災いになるだろう」
時々鈴木花和の前に現れて、実質的な被害はなくても非常に迷惑な存在だ。
それに、この人物は性格が悪く、他人を唆して放火までさせるなんて。
今のうちに処理しておかないと、また現れて鈴木家や母娘を傷つけることになったら、後悔しても遅いだろう。
二人は少し驚いて言った。「若様、つまり?」
高空は冷静に言った。「彼女を桃の里で暴れさせないようにすればいい」
田中くんと山本くんはすぐに理解した。
「分かりました、すぐに調査に取り掛かります!」二人は即座に答えた。
彼らにとって、一農婦の調査など朝飯前の仕事だった。
……
翌日、鈴木のお母さんは昨夜の約束通り、消火活動に参加した全ての家庭にイチゴを2斤ずつ配った。
村人たちは本当に感激し、喜んだ。
鈴木正大家のイチゴは、とても高価なものだった。
2斤どころか、2両のイチゴでも数十元の価値があり、それだけでも嬉しいことだった。
2斤のイチゴといえば、数百元の価値がある。
鈴木正大家は本当に太っ腹だ。
昨夜は消火活動に参加したとはいえ、みんなそれほど疲れてはいなかった。
火は十数分で消えたのだから。
「2斤のイチゴって、三四百元相当だよ。秋絵さんたちは目も瞬きせずにそれを配るなんて、本当に意外だね」
「実は意外でもないよ。鈴木正大家は昔から恩と怨みをはっきりさせる家柄だ。私たちが火事の消火を手伝ったから、恩を感じて返しているだけさ」
「そうだね。もし皆が必死に消火しなかったら、イチゴ畑全体が燃えてしまって、損失はもっと大きかっただろう。まだ百万元以上の価値のイチゴが残っているんだから」
彼女の暗示的な意味は、このイチゴは鈴木家が当然配るべきものだということだった。
もし彼らが消火に協力しなければ、全てを失っていたはずで、数十万元の損失で済んだのだから。
「この山本蘭もほんと。平穏な日々を過ごせばいいのに、わざわざ放火なんかして、これからは刑務所で過ごすことになるなんて」
「ああ、放火の罪がこんなに重いとは誰が想像できただろうか」
「山本蘭は今頃後悔してるだろうね」