第262章:イチゴを贈る(1更)

宮崎家に戻ると、高空は田中くんと山本くんに言った。「この山本春香を村に置いておくのは大きな災いになるだろう」

時々鈴木花和の前に現れて、実質的な被害はなくても非常に迷惑な存在だ。

それに、この人物は性格が悪く、他人を唆して放火までさせるなんて。

今のうちに処理しておかないと、また現れて鈴木家や母娘を傷つけることになったら、後悔しても遅いだろう。

二人は少し驚いて言った。「若様、つまり?」

高空は冷静に言った。「彼女を桃の里で暴れさせないようにすればいい」

田中くんと山本くんはすぐに理解した。

「分かりました、すぐに調査に取り掛かります!」二人は即座に答えた。

彼らにとって、一農婦の調査など朝飯前の仕事だった。

……

翌日、鈴木のお母さんは昨夜の約束通り、消火活動に参加した全ての家庭にイチゴを2斤ずつ配った。

村人たちは本当に感激し、喜んだ。

鈴木正大家のイチゴは、とても高価なものだった。

2斤どころか、2両のイチゴでも数十元の価値があり、それだけでも嬉しいことだった。

2斤のイチゴといえば、数百元の価値がある。

鈴木正大家は本当に太っ腹だ。

昨夜は消火活動に参加したとはいえ、みんなそれほど疲れてはいなかった。

火は十数分で消えたのだから。

「2斤のイチゴって、三四百元相当だよ。秋絵さんたちは目も瞬きせずにそれを配るなんて、本当に意外だね」

「実は意外でもないよ。鈴木正大家は昔から恩と怨みをはっきりさせる家柄だ。私たちが火事の消火を手伝ったから、恩を感じて返しているだけさ」

「そうだね。もし皆が必死に消火しなかったら、イチゴ畑全体が燃えてしまって、損失はもっと大きかっただろう。まだ百万元以上の価値のイチゴが残っているんだから」

彼女の暗示的な意味は、このイチゴは鈴木家が当然配るべきものだということだった。

もし彼らが消火に協力しなければ、全てを失っていたはずで、数十万元の損失で済んだのだから。

「この山本蘭もほんと。平穏な日々を過ごせばいいのに、わざわざ放火なんかして、これからは刑務所で過ごすことになるなんて」

「ああ、放火の罪がこんなに重いとは誰が想像できただろうか」

「山本蘭は今頃後悔してるだろうね」