山本春香と寄田五郎は、冗談を言い合いながら町の食堂にやってきた。
二人はこの店の常連だった。
二人が来ると、女将は笑顔で「今日は何にしますか?今日はスッポンが入ったんですけど、スッポン料理はいかがですか?安心してください、私の料理は上手ですから、絶対においしいスッポン料理を作りますよ」と尋ねた。
山本春香は値段も聞かずに「いいわね!」と頷いた。
寄田五郎の表情が一瞬歪んだ。
スッポン料理は高価だし、二人だけではとても食べきれないだろう。
結局、彼は歯を食いしばって承諾した。
その後、他の料理も注文して、食事を待った。
山本春香は座るなり、不機嫌そうに「あなた、どうしたの?人前で私の名前を呼ばないでって言ったでしょう?」と言った。
寄田五郎は無実の表情で「呼ぶつもりはなかったんだ。でも、そばで待っていたのに、話が終わる気配もないし、お腹も空いてきたし」と言った。
山本春香はそれを聞いて、自分が悪かったと認めて「そうね、私が悪かったわ。じゃあ、先に食事にしましょう」と言った。
山本春香と寄田五郎は食堂を出て、どこかで密会するつもりだった。
しかし、食堂を出たとたん、二人とも体の具合がおかしくなった。特に山本春香は、頭が重く、全身に力が入らず、体中がおかしな感じがした。
しばらくすると、彼女は完全に理性を失い、近くにいた男性を掴んでキスを始めた。
彼女に掴まれた男性も、同じように応じた。
「あっ!」
賑やかな市場で、皆がこの光景に目を丸くして呆然とした。
気づいた時には「ドーン」という音とともに、周りの人々は全員逃げ出した。
しかし、遠くまでは逃げず、ただ輪を作って二人を取り囲み、突然発作を起こした二人を、好奇心と興奮の表情で見つめながら、どこか興奮した様子だった。
大人たちが立ち止まるのを見た子供たちも足を止め、何か面白いものでもあるのかと思い、小さな体を活かして中に潜り込んで、驚きと不思議そうな表情で「あれ?あの大人たちはどうして抱き合ってるの?」と尋ねた。
子供たちの親は自分の子供だと気づくと、すぐに駆け寄って子供を抱き上げ、目を手で覆いながら「お前みたいな小さい子は見ちゃダメだ。目やにが出るぞ」と言った。
そして子供を抱いたまま、群衆の後ろの方へ下がっていった。
人は、どんどん増えていった!