第352章:隣近所(その1)

見物人が苗田翔が逮捕された理由を不思議に思っているとき、鈴木家の人々が一人一人と家から出てきた。

苗田家と鈴木家の確執があったため、周りの近所の人々は鈴木家の人々のことをよく知っていた。

「あれ、苗田家の若奥さんのお爺さんとお婆さんじゃないか?」

「他の人たちも鈴木家の人たちなのかな?」

「たぶんそうだろう」

「ああ、でも鈴木家の人たちはいつ苗田家に来たんだろう?」

これまで鈴木家の人々が苗田家に来るたびに、まるで天地がひっくり返るような大騒ぎになり、みんなが知るところとなっていた。

実は、鈴木家の人々が理不尽で騒ぎを起こしたわけではなく、鈴木家の人々が来ると、苗田家の人々、いや、馬場美子だけが口汚く罵り始め、まるで悪婦のように振る舞い、苗田家の大きな門を閉ざして、鈴木家の人々を一歩も中に入れなかったのだ。