第352章:隣近所(その1)

見物人が苗田翔が逮捕された理由を不思議に思っているとき、鈴木家の人々が一人一人と家から出てきた。

苗田家と鈴木家の確執があったため、周りの近所の人々は鈴木家の人々のことをよく知っていた。

「あれ、苗田家の若奥さんのお爺さんとお婆さんじゃないか?」

「他の人たちも鈴木家の人たちなのかな?」

「たぶんそうだろう」

「ああ、でも鈴木家の人たちはいつ苗田家に来たんだろう?」

これまで鈴木家の人々が苗田家に来るたびに、まるで天地がひっくり返るような大騒ぎになり、みんなが知るところとなっていた。

実は、鈴木家の人々が理不尽で騒ぎを起こしたわけではなく、鈴木家の人々が来ると、苗田家の人々、いや、馬場美子だけが口汚く罵り始め、まるで悪婦のように振る舞い、苗田家の大きな門を閉ざして、鈴木家の人々を一歩も中に入れなかったのだ。

今回、鈴木家の人々が苗田家でこんなに静かにしているのを、みんな不思議に思っていた。

鈴木お婆さんたちは、この数年間で、苗田家の近所の人々とも顔見知りになっていた。

彼らの驚いた表情を見て、鈴木お婆さんは既に赤くなっていた目から、また思わず涙をこぼした。彼女は涙を拭いながら言った。

「この苗田家の人たちは本当に残酷な心を持っているわ。今夜、戸を閉め切って、孫娘と二人の子供を殺そうとしたのよ。もし私たちが間に合わなかったら、その結果は想像もできないわ」

周りの人々はこれを聞いて、驚きの表情を浮かべた。

「何ですって?苗田家の人たちが若奥さんを殺そうとした?」

彼らには想像もできなかった。苗田家がどうしてこんなに大胆不敵になり、人を殺そうとするなんて。

鈴木お婆さんは頷きながら言った。「そうよ。苗田家の人たちは外から農薬を買ってきて、鶏スープに入れて、私の孫娘と二人のひ孫娘に無理やり飲ませようとしたの」

「えっ!」

「私たちが到着したとき、苗田大助と苗田翔の父子が私の孫娘を押さえつけ、苗田が鶏スープを入れたお玉を口に持っていこうとしていたわ。あと少し、本当にあと少しで、私の孫娘がスープを飲まされるところだった。私たちは皆知っているわ、農薬は人を殺せるものだって。うっ...私の可哀想な孫娘と二人のひ孫娘、あと少しで毒手に掛かるところだったわ」

人々は「......」