第378章:ピーナッツオイル(2更)

「うーん、いい香りだね」

「そうだね、いい香り。落花生油を搾っているような香りだ」

「前に落花生油を搾る店があるのは知っているけど、ここから少なくとも200~300メートルは離れているはずだよ。この香りがそんなに遠くまで漂うのかな?今まであそこで毎日落花生油を搾っていたのに、香りを感じたことなんてなかったのに、今日はどうしてこんなに落花生の香りが漂ってくるんだろう」と誰かが不思議そうに言った。

「そうだね」と隣の住人が言った。「前の店は毎日落花生油を搾っているけど、ここまで香りが来たことなんてないよ。どうして今日は突然こんなに香るんだろう?」

……

安則町の県道沿いには、精米所と搾油所があった。

今話題になっている搾油所がここにある。

今日はこの搾油所が特に賑わっていた。

普段も賑わっているが、落花生の収穫期なので、多くの村人が落花生を乾燥させると、すぐに持ってきて油を搾る。

落花生油は高価だ。

1斤あたり十数元。

多くの村人は搾った落花生油を食べるのがもったいなくて、売って現金に換えたがる。

もちろん、裕福な家庭では搾った落花生油を自家用に残したり、人にあげたりする。

この時期の落花生油は贈り物に最適で、特に出産後の産褥期の家庭には喜ばれる。

ここは今、毎日長い列ができて油を搾るのを待っている。

今日、鈴木正大は人々と共に千斤以上の落花生を持ってきて、ここで油を搾ることにした。

自宅には搾油機がないからだ。

藤田おじさんは搾油所の店主と知り合いで、早めに話を通していた。

そのため、列に並ばずに、持ってきた落花生をすぐに搾ることができた。

搾油所の店主は落花生を見て、目を輝かせた。

「これは私が見た中で最も実が詰まっていて、一粒も悪くない落花生だ。この品質なら、搾った油は間違いなく素晴らしいものになるはずだ」

搾油所の山本社長は笑いながら尋ねた。「社長、搾った落花生油は売りますか?もし売るなら、私も数斤買いたいのですが」

彼の家には産褥期の嫁がいて、数日前に男の孫を産んだばかりだった。

当然、功労のある嫁には良い待遇をしたいと考えていた。

「……」鈴木正大は笑って言った。「山本社長、うちの落花生油は確かに売りますが、安くはありませんよ」

山本社長は少し眉をひそめた。「安くない?じゃあ、いくらで売るつもりですか?」