第425章: 河野並木の怒り(一更)

河野並木は帝都の事を処理した後、夜を徹してZ市に飛び戻った。心の中の人に早く会いたくて、飛行機を降りるとすぐに車を走らせ、急いで安則郡へ向かった。職場や宿泊先にも立ち寄らず、そのまま桃の里へと急いだ。

彼は鈴木花和が河野お爺さんたちに気づかれて傷つけられないよう、権力と秦野朱音との婚約を選んだ。

しかし鈴木花和は彼が初めて心惹かれ、心に留めた人だった。他の女性を選んだとしても、鈴木花和のことは忘れられなかった。

二ヶ月と十二日、鈴木花和に会っていなかった。

この間、彼女がどう過ごしているのか、子供を身ごもって体調はどうなのかなど、様々な心配が頭をよぎった。

この期間、誰か彼女に迷惑をかけていないだろうか。

きっとそんなことはないだろう。

親友が約束してくれたはずだ。彼女を陰から守り、河野お爺さんや他の人に居場所を見つけられないようにすると。