秦野家は河野家の老人が直接出向くことを頑なに要求し、それでようやく婚約を解消する気になった。
しかし、河野お爺さんのような面子を重んじる人が、どうして自ら秦野家に行って婚約を解消するだろうか。
「おじさん、おばさん、どうお考えになりましたか?」河野並木が再び秦野家を訪れ、少し強引な態度を見せた。
以前なら、河野並木は秦野家や秦野興太夫妻に多少の面子を立てたかもしれない。
しかし、秦野朱音というこの悪女が鈴木花和を傷つけようとしていたことを知ってからは、彼女を許すつもりも、見逃すつもりもなかった。
それに、秦野家の人々のやり方はあまりにも不愉快だった。自分の娘がどんな人間か知っていながら、彼女を無理やり彼に押し付けようとしていた。
秦野興太は顔を曇らせて言った。「河野並木、言っただろう。お爺さんが直接来ない限り、この婚約は解消しない。」