017:まさか玄人に出会うとは!

北橋高校は蒼井真緒でさえ入れなかった高校なのに、蒼井華和が入れるわけがない?

この私生児は本当に分をわきまえないわね!

「それなら地下でお婆様に教育方針を聞いてみたらどうですか?」蒼井華和は周防蕾香を見つめながら、眉を軽く上げた。

人を怒らせる言葉なのに、彼女は笑顔で言い放った。その花のような笑顔に目が離せなかった。

周防蕾香は言葉に詰まり、蒼井華和を睨みつけながら、息も詰まりそうだった。

蒼井真緒は美しい瞳を細め、この時に口を開いた。「姉さん、北橋は確かにインターナショナルスクールと比べられる唯一の高校だけど、北橋はあなたが想像しているほど簡単じゃないわ。こうしましょう。明日、私と一緒に葉山先生の研究室に行きましょう。その時はあなたは何も言わなくていいから、私が葉山先生に謝罪します。もし本当に転校したいなら、私が方法を考えてあげるわ。」

実際、蒼井真緒は蒼井華和が北橋高校にこだわる理由をよく分かっていた。

それは蒼井華和が彼女より上に立ちたいからだ。

蒼井華和は葉山先生の怒りを買い、もうインターナショナルスクールには戻れない。面目を取り戻すには、北橋に行くしかない。

でも蒼井華和は鏡を見るべきよ。彼女に北橋に行く資格があるの?

夢物語ね。

蒼井華和はもう話すのも面倒で、ドアの前で座っている猫を見て、「部屋に戻るわ」と言った。

「待て!」

蒼井龍が突然声を上げた。

蒼井華和は紅い唇を開き、「言って」と。

たった一言だが、何とも言えない威厳を帯びていた。

そんな蒼井華和を見て、蒼井龍は何故か急に不安になり、虚勢を張った。「蒼井家のお嬢様は真緒一人だけだ。自分の立場を忘れるな!」

養女に過ぎないくせに、本当に天に登ろうとでも思っているのか?

「学校のことは、真緒と一緒に先生に謝るか、自分で何とかするかだ!蒼井家の名前や真緒の名前を使って北橋高校に入ろうなどと考えるな!」

私生児のために人脈を使うつもりなどない!

蒼井華和は何も言わず、軽く身を屈めてドアの前の猫を抱き上げ、書斎を後にした。

蒼井龍は蒼井華和の背中を見つめながら、同じように腹を立てていた。

「お父様、怒らないでください」蒼井真緒は優しく慰めた。「姉さんはただ心のバランスを崩しているだけです。お父様とお母様は少し大目に見てあげてください」