018：ちょっと面白い

「心が痛むのですか？」蒼井華和は店主の手を押さえた。

蒼井華和は事を穏便に済ませようと思っていたが、店主が強引な売り方をしようとするとは思いもよらなかった。

これは我慢できない。

蒼井華和に見抜かれたにもかかわらず、店主は強がった態度を崩さなかった。「私が心が痛むだなんて！十数年商売をしてきて、偽物を売ったことなんて一度もない！人を騙したこともない！買わないと言ったのはあなたでしょう！おかしな娘さんだね、最初はケチをつけて買わないと言い、今度は私の薬に問題があるとか！今日は運が悪かったよ、若い娘とこんなことで言い争いたくないね。」

蒼井華和は軽く微笑み、片手で店主の手を押さえたまま、もう片方の手で携帯を取り出し、壁のQRコードをスキャンした。

ピッ！

アリペイで320元が支払われた！

蒼井華和がこのタイミングで支払うとは誰も予想していなかった。店主さえも驚いていた。

彼女は何をしているのだろう？買わないと言ったのではないのか？

もしかして怖くなったのか？

でなければ、なぜ支払うのだろう！

そうに違いない。

蒼井華和が支払ったのだから、もう彼女とは争わないことにしよう。

そう考えて、店主は手を引っ込めた。

蒼井華和は薬の袋を手に取り、電話をかけた。「もしもし、工商局ですか？林業通り195番地の店で偽薬を売っています。」

偽薬！

蒼井華和は通報するつもりだったのか、だから支払ったのだ。

工商局の規定では、偽薬を売った場合、十倍の賠償金を支払うだけでなく、店を閉鎖され、刑事責任も問われる。

「お嬢さん！話し合いましょう、話し合いで！」店主は本当に焦り始めた。

普段からこういうことをしていたが、今まで問題が起きたことはなかった。この娘は若く見えて、せいぜい高校生くらいで、簡単に騙せそうに見えたのに、まさか手ごわい相手だったとは。

蒼井華和は電話を切り、「あなたが偽薬を売って消費者を騙すのだから、罰を受けて当然です！」

蒼井華和が妥協しないと分かると、店主は怒りと恥ずかしさのあまり、直接薬を奪おうとした。

店主は体格がよく、蒼井華和は華奢で、とても相手にならないように見えた。

周りの見物人たちは店主が暴力を振るおうとするのを見て、すぐに袖をまくり上げて助けようとした。

しかし。