「すり替えですって?」
「どういうことですか?」
「まさか蒼井華和はこれらが偽物だと気付いたの?」
「まさか!」
「蒼井華和は田舎者に過ぎないわ。彼女がどうして一目で本物と偽物を見分けられるはずがないわ」
一瞬のうちに、周防蕾香は表情を取り戻し、「何のすり替えよ?」
「これらが偽物だとまだお分かりにならないのですか?」
「もちろん偽物なんかじゃないわ!」周防蕾香は続けた。「ここがあなたの田舎だと思ってるの?偽物を本物と偽って売りつけるなんて?」
蒼井華和は軽く頷き、赤い唇を少し上げ、そのまま立ち去ろうとした。
「どこへ行くの!」
彼女が去ろうとするのを見て、周防蕾香は焦り、すぐに蒼井華和の後を追った。
「如月家へ行きます」
蒼井華和が如月家へ行くと聞いて、周防蕾香は心中穏やかではなかった。