その細い姿を見つめながら、如月廷真の瞳の色は深くなっていき、人差し指を曲げて、テーブルの上を軽くたたいていた。
しばらくして、彼は視線を戻し、隣の若松峰也を見た。
「指輪は?」
「どの指輪ですか?」若松峰也は一瞬戸惑った。
「婚約指輪だ」
如月大爺様は確かに婚約指輪を用意していたが、如月廷真は婚約を解消すると言ったのではなかったか?
「三兄さん、婚約を解消しないんですか?」若松峰也は尋ねた。
「何の婚約解消だ?」如月廷真は問い返した。
「さっき休憩室で、あなた自身が言ったじゃないですか!そんなに早く忘れたんですか?」
「聞き間違いだ」如月廷真は淡々とした口調で、まるで婚約解消の話など一度も言っていないかのように答えた。
言い終わると、如月廷真は若松峰也に手を差し出した。「指輪を」
如月廷真の差し出された手を見て、若松峰也は人生を疑い始めていた。
なんてこった!
女は気まぐれだと言うが、いつから男もこんなに気まぐれになったんだ?
若松峰也は喉を鳴らし、ポケットから指輪ケースを取り出し、如月廷真の手に渡した。
如月廷真は婚約指輪を受け取り、立ち上がってステージに向かった。
そのとき。
一筋の光がステージに照らされた。
彼女の姿が皆の前に完全に現れた。
少女は十七、八歳ほど。
塵一つない白いドレスを身にまとい、体にフィットしたデザインが細い腰を際立たせ、腰まである長い髪は上げられ、優美な白鳥のような首筋を露わにし、高貴な雰囲気の中に冷たさが漂っていた。
蓮の花のような顔立ち、柳のような腰。
軽く目を上げると、美しい桃の花のような瞳に清らかな波が揺らめき、この世のすべてのものが彼女の前で色を失うようだった。
会場で念入りに着飾った名門の令嬢たちも、彼女の引き立て役となってしまった。
空気中の雰囲気が一瞬凍りついた。
しばらくして。
議論の声が再び上がった。
「まあ!なんて美しいの」
「美しいだけで何になるの?どんなに美しくても、所詮は田舎者よ」
「この娘は蒼井龍が養子にした子で、時期から考えると、確かに蒼井家の長女なのよ。これまでずっと田舎で育てられて、最近婚約することになって呼び戻されたそうよ」