036:婚約パーティー

その細い姿を見つめながら、如月廷真の瞳の色は深くなっていき、人差し指を曲げて、テーブルの上を軽くたたいていた。

しばらくして、彼は視線を戻し、隣の若松峰也を見た。

「指輪は?」

「どの指輪ですか?」若松峰也は一瞬戸惑った。

「婚約指輪だ」

如月大爺様は確かに婚約指輪を用意していたが、如月廷真は婚約を解消すると言ったのではなかったか?

「三兄さん、婚約を解消しないんですか?」若松峰也は尋ねた。

「何の婚約解消だ?」如月廷真は問い返した。

「さっき休憩室で、あなた自身が言ったじゃないですか!そんなに早く忘れたんですか?」

「聞き間違いだ」如月廷真は淡々とした口調で、まるで婚約解消の話など一度も言っていないかのように答えた。

言い終わると、如月廷真は若松峰也に手を差し出した。「指輪を」