藤原琳は上條政が話し終わる前に、すぐさま口を開いた。「蒼井さん、私たちはあなたを信じています」
藤原琳は見識の広い人物だった。
彼女は一目で蒼井華和が普通の女の子とは違うことを見抜いていた。
冷静で自制心があり、物腰が優雅で、この年齢の子供には見られない気品を漂わせていた。
世の浮き沈みを経験してきたかのように。
「はい」蒼井華和は軽く頷き、続けて「紙とペンはありますか?」と尋ねた。
「ありますよ」藤原琳はすぐに使用人に紙とペンを持ってくるよう指示した。
蒼井華和は紙を受け取り、処方箋を書き、禁忌事項と傷の手当てに必要な物品を注記し、それから紙を藤原琳に渡して「紙に書いてあるものを用意してください。明日の午後また来ます」と言った。
「わかりました」藤原琳は処方箋を受け取り、そこに書かれた文字を見た時、一瞬感嘆の念を覚えた。