041:蒼井さんが来た

和泉名医の言葉を聞いて、上條政は一瞬固まった。

和泉名医の意図は藤原琳に謝罪させることだったのか?

しかし、藤原琳の性格からすると、彼女は決して頭を下げることはないし、謝罪なんてもっとありえない。

上條政は続けて言った。「和泉名医、人命は天より重し、私と藤原琳は夫婦一体です。私が妻の代わりに謝罪させていただきます。娘を救っていただけるなら、どんな条件でも承諾いたします。」

「奥様から直接連絡をいただきたい。」

その言葉を最後に、和泉名医は電話を切った。

切られた電話を見つめながら、上條政は眉をひそめ、すぐに部屋に戻った。「琳、ちょっと外に来てくれ。」

子供の前では言えないことがある。特に上條迎子は高熱を出している状態だった。

「どうしたの?」

藤原琳は上條政について外に出た。

上條政は藤原琳を見つめ、深刻な表情で言った。「迎子の状態が非常に危険だということを分かっているのか?すぐに治療を受けさせなければならない。」

上條政に比べて、藤原琳はずっと落ち着いていた。「あなたは物事を深刻に考えすぎよ。蒼井さんが言ったように、発熱は正常な状態で、迎子は今夜を過ぎれば熱が下がるはずよ。」

藤原琳は蒼井華和を完全に信頼していた。

そう言って、彼女は続けた。「昨日、宙から電話があって、彼のめまいと咳の症状を蒼井さんはスープ一杯で完治させたのよ。だから、心配する必要はないわ。」

藤原宙の症状は西洋薬を多く服用しても効果がなく、彼女の前で不満を漏らしていたのに、蒼井華和は薬膳だけで治してしまった。

これだけでも蒼井華和の実力は十分証明されている。

「迎子の熱が39度もあることを知っているのか!」上條政は眉をひそめた。「和泉名医に相談したが、今の状態では生命の危険があるそうだ。和泉名医には迎子を救う方法がある。彼と話し合ったが、君が電話で謝罪するだけでいいんだ。」

「何が名医よ、私から見れば単なる凡医よ。人も来ないで迎子に生命の危険があるなんて分かるの?でたらめを言うわね!」藤原琳は口調を変えた。「あなたが迎子を心配しているのは分かるわ。でも冷静になって。迎子の状態は蒼井さんの予想通りなのよ。」

凡医?

その言葉を聞いて、上條政は少し怒り出した。