蒼井華和を見た蒼井真緒は、完全に動揺してしまった。
なぜこの私生児がどこにでもいるのか、理解できなかった。
蒼井真緒からすれば、須藤大婆様は明らかに自分に会いに来たはずだった。
しかし今。
須藤大婆様の前に立っているのは蒼井華和だった。
蒼井華和はどうやって須藤大婆様と知り合ったのか?
それに、なぜ須藤大婆様は蒼井華和を恩人と呼ぶのか?
まさか......
蒼井華和は須藤悠翔を狙っているのか?
結局、如月廷真はただの役立たずで、蒼井華和が役立たずと結婚するはずがない。
ふん。
この私生児は本当に天を仰ぐほど大それた野心を持っているくせに、命は紙より薄い。
そう考えると、蒼井真緒の目には嘲笑の色が浮かんだ。
私がいる限り、蒼井華和は須藤悠翔の目に留まることなどできない!
須藤悠翔は私の池の魚にしかなれない運命なのだ。