090:名実共に相応しい第1位(1万字の章)_2

篠崎登世は頷いた。「その通りね」

その時、篠崎登世の若い助手が横から駆けてきた。

「どうしたの?」篠崎登世は振り返った。

助手は言った。「真壁教授がお呼びです。採点のことでご相談したいそうです」

それを聞いて、篠崎登世は林朝日の方を向いた。「林さん、ちょっと行ってきます」

林朝日は頷いた。

「どうぞ!」

篠崎登世は急ぎ足で助手と一緒に立ち去った。

篠崎登世の後ろ姿を見ながら、林朝日は隣の助手に向かって、小声で尋ねた。「朝倉君、篠崎教授の弟子は河内市一の才女だって聞いたけど、本当かい?」

朝倉は頷いた。「はい、その通りです」

河内市一の才女。

河内市には二千万以上の人口がいて、外来人口を除いてもだ。河内市一の才女という称号を得るのは容易なことではない。

どうやら、蒼井真緒はバイオリンだけでなく、他の面でも非常に優秀なようだ。