090:名実共に相応しい第1位(1万字の章)_3

審査員は全部で十人いる。

各審査員の最高点は十点である。

最高点と最低点を除いた点数が最終得点となる。

最初の出場者の得点は25点だった。

次は白川芙蓉だ。

白川芙蓉の名前を聞いた蒼井真緒は、すぐに気を引き締めて、彼女をじっと見つめた。

白川芙蓉の演奏曲は『白黒』だった。

曲全体の前半は抑制的で、後半は軽やかで力強く、リズムの取り方が絶妙だった。

この白川芙蓉のバイオリンの技術は確かに素晴らしい。

もし蒼井真緒が篠崎登世の指導を受けていなければ、白川芙蓉が最も手強い相手となり、勝てるかどうかも分からなかっただろう。

白川芙蓉の得点は50点だった。

最高点と最低点を除いても、白川芙蓉の得点は低くなかった。

その後の出場者は誰も50点を超えることはなかった。

出場者が次々と舞台に上がる中、蒼井真緒は焦ることなく、自分の名前が呼ばれるのを待っていた。

彼女は107番目の出場者だった。

蒼井華和の前で、最後から二番目の出場だった。

順番を見た時、蒼井真緒は最初、コネを使って最後に出場してトリを飾ろうと考えたが、よく考えた末、このままでいいと決めた。

蒼井華和という田舎者にトリを任せた方が、より面白いじゃないか?

時間は早く過ぎた。

あっという間に午後となり、コンクールも終盤に近づいていた。

「次は107番、インターナショナルスクール高校三年六組の蒼井真緒さんです。」

「演奏曲は『恰空』です!」

蒼井真緒は自信に満ちた笑顔を浮かべながら、優雅に舞台に上がり、観客に向かって「皆様こんにちは、審査員の先生方こんにちは。インターナショナルスクールの蒼井真緒です。」

「58番の出場者さん、準備はよろしいですか?」と司会者が尋ねた。

「はい、準備できています。」

「では、演奏をお願いします。」

司会者の言葉が終わるや否や、蒼井真緒はバイオリンを手に取り、肩に構えて演奏を始めた。

すぐに、美しい音楽が空間に響き渡った。

蒼井真緒はもともと河内市で名高い才女として知られていた。

多くの人々が彼女に大きな期待を寄せていた。

実際。

蒼井真緒はその期待を裏切らなかった。

むしろ、普段の実力以上の演奏を披露した。

音程とリズムはますます安定し、空の雲のように、時には集まり、時には流水のように奔流となり、聴衆を陶酔させた。