090:名実共に相応しい第1位(1万字の章)_3

審査員は全部で十人いる。

各審査員の最高点は十点である。

最高点と最低点を除いた点数が最終得点となる。

最初の出場者の得点は25点だった。

次は白川芙蓉だ。

白川芙蓉の名前を聞いた蒼井真緒は、すぐに気を引き締めて、彼女をじっと見つめた。

白川芙蓉の演奏曲は『白黒』だった。

曲全体の前半は抑制的で、後半は軽やかで力強く、リズムの取り方が絶妙だった。

この白川芙蓉のバイオリンの技術は確かに素晴らしい。

もし蒼井真緒が篠崎登世の指導を受けていなければ、白川芙蓉が最も手強い相手となり、勝てるかどうかも分からなかっただろう。

白川芙蓉の得点は50点だった。

最高点と最低点を除いても、白川芙蓉の得点は低くなかった。

その後の出場者は誰も50点を超えることはなかった。

出場者が次々と舞台に上がる中、蒼井真緒は焦ることなく、自分の名前が呼ばれるのを待っていた。