「いいえ、いいえ」篠崎登世は首を振って言った。「彼女の最高の状態をまだ見ていないのよ」
その言葉を聞いて、林朝日は非常に驚いた。「これでもまだ最高の状態じゃないんですか?」
篠崎登世は笑って言った。「そうよ」
林朝日は唇を舐めた。蒼井真緒が最高の状態になったら、どんな様子になるのか想像もできなかった。
一曲が終わった。
蒼井真緒はバイオリンを片付け、審査員の採点を待った。
最初の審査員が9.5点という高得点をつけた。
次は8.9点。
8.5、9.3、8......
最高点と最低点を除いて、蒼井真緒の最終得点は65点となった。
司会者は計算された点数を見て興奮した様子で「インターナショナルスクールの蒼井真緒さん、現在の最高得点、平均点8.125点を獲得されました!おめでとうございます!」
その言葉が終わると、会場から耳をつんざくような拍手が沸き起こった。