「真壁先生。」
「華和、どうしたの?」真壁美々は顔を上げて蒼井華和を見た。
蒼井華和は言った。「真壁先生、午後ちょっと用事があって、お休みをいただきたいんですが。」
「午後いっぱいお休みするの?」真壁美々は尋ねた。
「はい。」蒼井華和は軽く頷いた。
真壁美々は少し躊躇してから言った。「いいわよ、用事があるなら午後の授業は休んでいいわ。」
「ありがとうございます。」
真壁美々は笑いながら言った。「早く行ってきなさい。」
蒼井華和が去っていく後ろ姿を見て、葉山雄大は眉をひそめた。
この蒼井華和は本当に無礼だ。彼女を教えたことがあるのに、会っても挨拶一つしない。
一日の師は終生の父というのを知らないのか?
まったく礼儀知らずだ。
葉山雄大は振り向いて続けた。「あなたのクラスの蒼井華和は記憶力が良くないようね。」