100:河内市へ

葉山雄大は蒼井華和が大嫌いだった。

一つ目の理由は、蒼井華和が蒼井真緒と血縁関係がないからだ。

二つ目の理由は、蒼井華和が虚栄心が強すぎるからだ。養女に過ぎないのに、いつも蒼井真緒と張り合おうとする。

それに、蒼井家が彼女をここまで育ててきたのに、感謝するどころか、今では蒼井家との関係を絶ってしまった。

犬を飼った方がましだったのに!

教師として、葉山雄大は受けてきた教育から、そのような人とは距離を置くべきだと分かっていた。

それを聞いて、原田先生は眉をひそめた。「葉山先生、警察だって証拠が必要なんですよ。私たち教師も同じで、発言や行動には証拠が必要です。根拠もなく人を誹謗中傷してはいけません。カンニングで一位を取れる人なんていますか?」

原田先生は一旦言葉を切り、続けた。「それに、バイオリンコンクールで蒼井真緒が私たちの学校の華に譲ったというなら、国家主席も蒼井真緒が譲ったとでも言うんですか!」