彼は自分の愛する人を見つけたかった。
そして一生を共に過ごしたかった。
それを聞いて、月島紅香は頷いた。「当たってるわね。」
若松峰也は頭を掻きながら、「母さん、僕はまだ若いし、そんな早く彼女を作りたくないんだ。」
その言葉を聞いて、若松満志は若松峰也を見上げ、目には期待外れの色が浮かんでいた。
やはり、どうしようもない奴だ。
月島紅香は笑いながら言った。「もう若くないわよ。朝倉家の息子はあなたと同じ年で、子供ももう買い物に行けるくらいになってるのよ。それに、私たちはすぐに結婚しろとは言ってないわ。ただ若い二人に会って、お互いを知ってほしいだけよ。」
若松峰也は若松岳登の方を見て、続けて言った。「岳登だって彼女いないじゃない!先に彼に紹介したらどう?」
それを聞いて、若松岳登は表情を変えなかったが、スマートフォンを持つ手に力が入った。
指の関節が少し白くなった。
若松峰也は何を言いたいんだ?
私生児という身分が上流社会で受け入れられないことを知っているのに、わざわざ堂々と言い出すなんて。
月島紅香は言った。「弟はまだ適当な人に出会ってないだけでしょう?」
若松岳登が表に出せない私生児で良かった。
そうでなければ、このような良い話は若松峰也のところまで回ってこなかっただろう。
結局、相手は朝倉家の一人娘なのだから。
若松峰也が朝倉望結と結婚すれば、朝倉グループ全体を手に入れるようなものだ。そうなれば、彼女も若松満志の前で胸を張れるようになるだろう。
言い終わると、月島紅香は続けて言った。「朝倉伯父ちゃんの娘よ。あなたも知ってるでしょう、朝倉伯父ちゃんはずっとあなたのことを気に入ってたわ。望結ちゃんもあなたの印象が良いみたいで、今はあなたの返事待ちなのよ。」
若松峰也が承諾すれば、彼は朝倉家の婿となり、朝倉グループの後継者となる。
そう考えると、月島紅香の心は喜びで一杯になった。
結局のところ、私生児は彼女の息子には及ばないのだ!
「朝倉望結のことですか?」若松峰也は眉をひそめて尋ねた。
「ええ。」月島紅香は頷いた。
朝倉望結と若松峰也は小学校の同級生だった。
朝倉望結は幼い頃からとても変わっていた。