蒼井智輝は頷いた。
蒼井大婆様は横のソファを指差して言った。「座りなさい。」
蒼井智輝はソファに座った。
「葉山雄大とはまだそれほど長く付き合っていないでしょう?」と蒼井大婆様は尋ねた。
「三ヶ月です。」
蒼井大婆様は少しも驚かなかった。「そうだと思っていたわ。」
「おばあちゃんは彼女のことが気に入らないんですか?」と蒼井智輝は続けて尋ねた。
「確かにあまり好きではないわね」と蒼井大婆様は遠回しな言い方をせずに言った。「私は長年風雨の中を生きてきて、様々な人を見てきたわ。あなたのこの彼女は、一目見た時から並の人間ではないと感じたの。」
蒼井智輝は黙っていた。
蒼井大婆様は蒼井智輝を見つめて「あなたはどう考えているの?」と聞いた。
蒼井智輝は「真剣です」と答えた。
「真剣なのは良いことよ。友情でも恋愛でも、真剣に向き合わなければならないわ。」ここで蒼井大婆様は一旦言葉を切った。「でも真剣であるためには、相手も真剣でなければならないの。お互いが向かい合う愛でこそ意味があるのよ。」
「その通りです」と蒼井智輝は頷いた。
蒼井大婆様は続けて言った。「人は経験を重ねながら成長していくものよ。葉山雄大と付き合うなら、用心深くならなければいけないわ。全てを投げ出すわけにはいかないの。それに、三ヶ月の付き合いで両親に会わせるなんて、そんな決断は軽率すぎるわ。この三ヶ月で何回会ったの?お互いのことをよく知っているの?これはあなた自身に対しても、女性に対しても無責任な行動よ!」
次々と問いかけられ、蒼井智輝はほとんど返す言葉がなかった。
彼はそこまで深く考えていなかった。ただ葉山雄大は一緒に歩んでいける人だと感じ、両親に会わせることにしたのだ。
「では、おばあちゃんのご意見は?」
外では、蒼井智輝は隙のない正義感あふれる弁護士だった。
しかし蒼井大婆様の前では、蒼井智輝はまだ成長しきっていない子供のように、何事も蒼井大婆様の意見を聞こうとした。
「好きなのなら、まずは付き合ってみなさい。結局、人生で誰しもろくでなしに出会うものなのだから。」
ある経験は必ず経なければならない。そうでなければ永遠に成長できない。
最も重要なのは、蒼井智輝が葉山雄大のことを少なからず好きだということだった。