112:南そもん、北村夢香_4

林芝乃を見つめながら、如月佳織は誇らしい気持ちでいっぱいになり、如月大爺様も孫娘の孝行心を感じてくれることを願った。

如月佳織はため息をつき、「お祖父さんの状態はあまり良くないわ」と言った。

林芝乃はベッドの前に行き、如月大爺様の様子を確認した。

「お祖父さん、お祖父さん」

何度か呼びかけたが、如月大爺様からの反応はなかった。

林芝乃は非常に心配し、主治医に如月大爺様の状態について尋ねた。

主治医は言った。「ご老人の肺に明らかな血塊があり、早急に除去しないと、いつ呼吸が止まってもおかしくない状態です。しかし、現在国内にはそのような技術がありません」

林芝乃は眉をひそめ、「お祖父さんの診療記録を見せていただけますか?」

国内にその技術がないなら、海外にはきっとあるはずだ。

彼女は海外で長年過ごしており、何人かの医師とは面識があった。

しかし、如月大爺様の診療記録を送ってみても、治療は不可能という返事しか得られなかった。

午後4時、林芝乃は母親と病院を後にした。

車の中で。

午後になってようやく、一行は病院を離れた。

「お母さん、お祖父さんはいつ病気になったの?」

如月佳織は答えた。「先週の水曜日よ。今回のお祖父さんの状態は危険な気がするわ。あなた、しばらく帰らないでいて」

「うん」林芝乃は頷いた。

彼女は如月大爺様の状態をよく理解していた。

海外の医学は進んでいるが、今は海外の医師でさえ手の施しようがなく、運命に任せるしかなかった。

如月佳織はため息をつき、「もしお祖父さんが今回何かあったら、あなたの大舅家が大儲けすることになるわね!」

「お母さん、どうしてそんなことを?」

如月佳織は言った。「お祖父さんは大舅一家が一番のお気に入りで、この何年もの間、表立っても裏でも多くの株式を渡してきたの。もしお祖父さんに何かあったら、それらは計り知れない額になるわ」

結局のところ、死人に口なしだ。

それを聞いて、林芝乃は目を細めた。

如月佳織は何か思い出したように林芝乃を見て、「芝乃、海外にいた間に名医は知り合わなかったの?」

「そういえば、一人いるわ!」林芝乃は突然目を輝かせた。

「本当?」如月佳織は急に元気になった。

林芝乃は頷いた。「彼女は白問と並び称される名医よ。南に白問あり、北に夢野空ありって言われているの」