林芝乃を見つめながら、如月佳織は誇らしい気持ちでいっぱいになり、如月大爺様も孫娘の孝行心を感じてくれることを願った。
如月佳織はため息をつき、「お祖父さんの状態はあまり良くないわ」と言った。
林芝乃はベッドの前に行き、如月大爺様の様子を確認した。
「お祖父さん、お祖父さん」
何度か呼びかけたが、如月大爺様からの反応はなかった。
林芝乃は非常に心配し、主治医に如月大爺様の状態について尋ねた。
主治医は言った。「ご老人の肺に明らかな血塊があり、早急に除去しないと、いつ呼吸が止まってもおかしくない状態です。しかし、現在国内にはそのような技術がありません」
林芝乃は眉をひそめ、「お祖父さんの診療記録を見せていただけますか?」
国内にその技術がないなら、海外にはきっとあるはずだ。
彼女は海外で長年過ごしており、何人かの医師とは面識があった。
しかし、如月大爺様の診療記録を送ってみても、治療は不可能という返事しか得られなかった。
午後4時、林芝乃は母親と病院を後にした。
車の中で。
午後になってようやく、一行は病院を離れた。
「お母さん、お祖父さんはいつ病気になったの?」
如月佳織は答えた。「先週の水曜日よ。今回のお祖父さんの状態は危険な気がするわ。あなた、しばらく帰らないでいて」
「うん」林芝乃は頷いた。
彼女は如月大爺様の状態をよく理解していた。
海外の医学は進んでいるが、今は海外の医師でさえ手の施しようがなく、運命に任せるしかなかった。
如月佳織はため息をつき、「もしお祖父さんが今回何かあったら、あなたの大舅家が大儲けすることになるわね!」
「お母さん、どうしてそんなことを?」
如月佳織は言った。「お祖父さんは大舅一家が一番のお気に入りで、この何年もの間、表立っても裏でも多くの株式を渡してきたの。もしお祖父さんに何かあったら、それらは計り知れない額になるわ」
結局のところ、死人に口なしだ。
それを聞いて、林芝乃は目を細めた。
如月佳織は何か思い出したように林芝乃を見て、「芝乃、海外にいた間に名医は知り合わなかったの?」
「そういえば、一人いるわ!」林芝乃は突然目を輝かせた。
「本当?」如月佳織は急に元気になった。
林芝乃は頷いた。「彼女は白問と並び称される名医よ。南に白問あり、北に夢野空ありって言われているの」