112:南そもん、北村夢香_3

犬でさえ信じない!

人間なら尚更だ。

白川雪乃は口を開いた。「お兄さん、お姉さん、婚約破棄の件以来、ずっと気分が優れないのは分かります。でも、人は現実を受け入れなければならないものです。」

白川雪乃もあまり直接的には言えず、遠回しに表現するしかなかった。

ここで一旦言葉を切り、続けて言った。「身内だからこそ言わせていただきますが、気を悪くしないでください。蒼井家のやり方は確かに良くなかったですが、彼らだけを責めることはできません。」

責めるとすれば、如月廷真が情けないことを責めるしかない。

もし蒼井真緒が自分の娘だったら、彼女も自分の娘を役立たずと結婚させたくはないだろう。

早坂明慧は白川雪乃の言わんとすることを理解し、心中穏やかではなかった。何か言おうとした時、白川雪乃が続けて話し始めた。

「でも、廷真にも大きな問題があるとはいえ、それでも名家の子息なのだから、田舎娘と結婚するところまで落ちぶれる必要はありません。私からのアドバイスですが、そんな空虚なことは気にせず、早く婚約を解消したほうがいいでしょう。廷真に新しい嫁を探しましょう。そうそう、もし私を信用していただけるなら、廷真のために仲を取り持つことができます。私の実家に姪がいて、今年30歳になりますが、まだ一度も恋愛経験がありません。確かに廷真より数歳年上ですが、諺にもあるように、年上女性は金の価値があるというじゃありませんか!」

白川雪乃が言及した実家の姪のことを、早坂明慧も知っていた。

年増の独身女性というだけでなく、体重が350斤もある太った女性だった。

日常生活のすべてに他人の世話が必要だった。

早坂明慧は内心激怒していたが、表面上は何も表さなかった。「叔母さんのご好意は感謝いたしますが、結構です。廷真と華和は仲が良いので。」

早坂明慧がきっぱりと断ると、白川雪乃も不機嫌になった。

なんだって?

如月廷真のあの様子で、まだ私の姪を見下すというの?

確かに姪は少し太っているけれど、一流大学を卒業して、数千万の資産があり、一生食べるに困らない身分なのに。

あの田舎娘に何があるというの?

きっと中学も卒業していないでしょう。

この早坂明慧は本当に分かっていない。